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その一

横島は少し悲しそうに話した

「心眼ですか、すごいですね でも横島さんが人ではないのはわかりませんでした」

刹那は驚きで目を見開いて横島を見た

「俺は人外の力のほとんどを封印しているからね、人間は個人では受け入れてくれるだろう。 ただし人間社会は難しい… だから本当に信頼出来る人以外には言わないよ」

横島は静かに話した

刹那も気持ちは理解出来るのか少し顔を暗くした


「横島さんはなぜ、私に教えたんですか?」

不思議そうな刹那が横島に聞いた

「刹那ちゃんも同じだろ? 俺が刹那ちゃんの秘密知ってるのに、刹那ちゃんに俺の秘密隠す必要ないだろ? ただこれは刹那ちゃん以外は誰も知らないから二人だけの秘密な!」

横島は笑顔で話して、刹那は驚いたが笑顔になった

「わかりました、誰にもいいません。」

横島はニコニコと話を続ける

「困ったことがあればいつでも相談してな! 後、木乃香ちゃんの事も考えてな。 後悔してからでは遅いよ、今なら間に合うからさ」

横島は笑顔で刹那に話していたが、最後の言葉には悲しみに満ちていた


刹那は思った、横島は笑顔で私を元気づけるが、何か深い傷を隠している…

彼は優しい、故に人一倍何かを抱え込んでいるのではないか…

これまで人に心を開かなかった自分ですら、彼には心を惹かれる

彼はそうして常に他人を救ってきたのだろうか…?


刹那は横島に興味がわいていた

そして彼のように強く優しく在りたいと思った


「横島さん… お気遣いありがとうございます。 すぐには答えが出せませんが考えてみます。 これからよろしくお願いします。」

刹那の笑顔の答えに横島は安堵した

目の前の傷つき臆病な少女の心を少し軽く出来たら気がしたから…


そして横島は新しい家を手に入れた、それは数十年ぶりの平和な生活になる


家には学園長が、最低限の生活必需品は用意してくれていた

その夜横島は、一人で月を見ながら酒を飲んでいた…

「酒なんて50年ぶりだな~ この世界の月にも月神族いるのかな……」

ふと昔を思い出して横島はそのまま寝てしまった…

横島には彼を寒さから守るように、暖かい光に包まれていた

それは横島の魂と同化した彼女達の想いだったのかもしれない…


翌朝横島が目を覚ましたのは、来客のインターフォンだった

ピンポーン!


横島は眠い目を擦りながら玄関に向かった

ガチャリ

玄関を開けると、木乃香と夕映がいた


「おはようさん。 横島さんまだ寝てたやろ~?」

「すいません。 お休みの邪魔をしました、家が決まったと聞いたのでお話しを聞きたくて来ました」

笑顔の木乃香と、少し恐縮した夕映がいた

「おう、木乃香ちゃんに夕映ちゃん。 おはよう 気にしなくていいよ」

横島は少し驚いたが笑顔で二人を中に入れた

「「おじゃまします」」

「横島さんの家まだ何にもあらへんね。 お酒の空がたくさんや~」

「昨日は床で寝てたのですか? 風邪をひきますよ?」

床に散乱した酒瓶と、横島が寝ていた後を見て、二人は苦笑いしていた


「最低限の物は学園長が用意してくれたからね。 当面は十分だよ。 昨日は、久しぶりに酒飲んだらいつの間にか寝てたんだよね~」

横島は笑いながら頭をかいて話していた

それから横島は朝食にパンを食べて、二人にはジュースを渡した

「横島さんが居た世界はどんな世界だったのですか?」

少し落ち着いた時、夕映が聞いた

彼女は好奇心が旺盛なので、先日知った魔法や横島の世界、非日常な事が聞きたかった


横島は驚いて少し苦笑いしながら話し始めた

「この世界とあんまり変わらないよ。 ただ俺の世界では魔法使いは中世で居なくなり、現代では霊能力を持つ人が多かったな……」

そしてゆっくり話して聞かせた

神族や魔族が実在する世界で、オカルトがオープンでGSや国際機関のオカルトGメンがいること

ただ基本的には同じで平和な世界だったと…

さすがに魔神大戦の後は話さなかったが…

「それで俺はGSっていう仕事してたんだ、分かり易く言えば退魔師かな? この前使ったのもその技だよ」

横島の話に二人は目を輝かせて真剣に聞いていた

「すごいなー 世の中は広いんやな~」
「おとぎ話のような小説のような話ですね… 神や悪魔が実在するとは…」
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