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▼狐の夢・第一話

『いつまでもヨコシマはヨコシマらしくいて』

一人の少女の最後の願い。
彼にとっては最愛の彼女の最後の言葉。

彼女の最後の願いを守ろうと彼は必死だった。
そう、必死で以前と変わらない自分を演じていたのだ。
以前のように女性に対して煩悩が湧かないのにセクハラをして。
本当は笑うことさえ出来ないのにワザとおバカをやってへらへらと笑う。
自分の心に鍵をかけ、笑顔という仮面を顔に貼り付ける。

押さえつけられた感情の歪みは、海底に溜まったヘドロのように少しづつ少しづつ彼の精神の奥底に溜まっていった。
周りの誰も、まして本人さえ気づかないまま…


その日、美神除霊事務所は珍しく静かであった。
所長の美神は、母である美神美智恵に呼びだされ今オカルトGメンに出向いている。
おキヌは学校からまだ戻っていない。 
シロタマもどこかへ出かけているのか不在のため、横島は事務所のソファーで雑誌を読みながらのんびりまったり寛いでいた。

時刻は夕方、ふと彼は顔を上げ何気なく窓の外を見る。
彼の目に飛び込んできたのは、それは見事な夕焼けであった。
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