このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

その一

部屋に朝の眩しい日差しが差し込む頃

横島には何やら声が聞こえた


「あぅ~」

意味の分からない声は横島の近くからする


ペチペチペチ

横島の頬を叩く小さく暖かい手


「う…ん?」

横島が眠そうに目を開くと…

目の前には笑顔の赤ちゃんが居る


「………夢か……」

横島は意味を理解出来ずに、また夢なのかと思う

思い出せないが、昨夜も夢を見た気がした


ペチペチペチ

赤ちゃんはまた横島の頬を叩く

まあ、力が弱い為触ってるようなものだが


「ん!?」

そのリアルな柔らかい赤ちゃんの手に横島の頭は完全に目を覚ます


「あー あー」

赤ちゃんは嬉しそうに横島に笑顔を向ける


「えっ!? 君はだれ?」

横島は目を見開き驚いた様子で赤ちゃんに問いかける


「うー だぁー」

赤ちゃんはただ嬉しそうに笑うだけで、答えれるはずが無い


「あれ? そう言えばルシオラは?」

横島は寝る前に握っていた、ルシオラの霊波片が無いことに気が付き探し出す


「無い! 無い!」

横島は顔色を変えて、布団をひっくり返し探すが見つからない


「ふぎっ… ぎ…! ひぐっ…」

そんな中、赤ちゃんが泣きそうになる


「あっ! ごめんな~」

横島は慌てて赤ちゃんを抱き上げあやす


赤ちゃんは横島に抱かれると、すぐに落ち着いた

横島は困った様子で赤ちゃんを眺める


「この子一体なんで家にいるんだ?」

横島は赤ちゃんを見つめてこの後どうしようか考え始める


「あれ… この子触覚があるな… しかもこの顔は……」

横島は体の奥から震えてしまう

見れば見るほど、ルシオラに似ている

いや、本人にしか見えない


数日前ルシオラの妹のベスパが化けた時ですら、横島は一瞬で見破っていた

その横島がこの赤ちゃんがルシオラにしか見えないのだ


赤ちゃんはそんな横島を不思議そうに見つめる


「ルシオラなのか?」

らしくないほど真剣な表情で赤ちゃんに問いかける横島


「あぅ~」

赤ちゃんは声は出すが意味は理解してないようだ


横島は何故かそんな赤ちゃんを見て涙が溢れてくる

「ルシオラなんだな… おかえり! ルシオラ」

横島は止まらない涙を拭くこともせずに、赤ちゃんを抱きしめる


「だー だぁー」

赤ちゃんはそんな横島に嬉しそうに手を伸ばす


泣きながらルシオラを抱きしめる横島に、赤ん坊のルシオラは意味がわからないようだが、横島に笑顔を向ける


「良かった… 本当に良かった…」

横島は止まらぬ涙を拭い、赤ん坊のルシオラをあやす


「お前は俺が必ず幸せにしてやるからな…」

赤ん坊のルシオラを見て、横島は新たな誓いをたてる



そして、そんな横島とルシオラの再開を覗いている者達が居る

「おー! 喜んどる、喜んどる」

闇は面白そうに笑っていた


「これで、おわりましたね…」

光は満足そうに微笑む


「これからが面白くなるやろな~」

闇は楽しみで仕方ないといった表情である


「後は彼次第ですよ」

こちらも少し楽しみなような表情をする

5/27ページ
スキ