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平和な日常~夏~2

「弟子にして欲しいアル!」

横島や周りの観客が騒然とする中、古菲は何故か豪徳寺に弟子入りを志願して頭を下げていた。

周りの人達は『気』に対して信じられないようだったが、古菲は信じたらしく目を輝かせて弟子入りを志願している。


「……悪いが俺は弟子を取るような柄じゃない。 ただ『気』について知りたいならば教えよう」

ワクワクとした表情で弟子入り志願する古菲の本気度に豪徳寺は多少戸惑うが、やはり根本的にはいい人なのだろう。

弟子入りは丁重に断るが『気』については教えることを約束する。

彼の性格上、同じ武道の道を歩み教えを請う者を無下にも出来ないのだろう。



「あれは一体なんだったのでしょう」

「あの人、嘘つくタイプじゃないわよね」

一方騒ぐ彼らから離れて龍宮神社のお祭りの方に向かう横島達だったが、先程の『気』が特に気になってこだわっていたのは夕映とハルナだった。

木乃香達も不思議だとは感じたらしいが、そこまで気になることではないらしい。


「世の中不思議なことがいっぱいなんですよ」

そんな夕映とハルナにさよは当然のように世の中は不思議なことがいっぱいだと告げるが、身近にもっと不思議な横島が居るために特に気にならないようだ。


「ええな~、ウチもアレやってみたいわ。 横島さん出来へんの?」

「出来る訳ないだろう。 まあスプーン曲げなら出来るけどな」

夕映達が『気』の正体を考える中で木乃香は豪徳寺の漢魂を使ってみたいと笑って横島に出来ないのかと尋ねるが、横島は当然出来ないと言い切り逃げに徹する。

ただ木乃香は別に戦いたい訳ではなく、アレが出来れば楽しそうだと考えてるだけだったが……。

そんな『気』に関する話題はしばらく続くが、お祭りの屋台がある場所に到着するとその話題は終了する。

夕映なんかはまだ気になっていたようだったが、今これ以上考えても分からないとは理解しており後で古菲にでも聞こう考えていたが。


(俺は悪くないんだけど……)

興味津々な様子の夕映と今後の古菲や豪徳寺を考えた横島は、このあと厄介なことにならねばいいがと密かにため息をつく。

元々『気』や魔法は特定の者だけの力や技術ではないのだ

従って独学でたどり着いても不思議ではないが、豪徳寺が素人の一般人ということが問題を複雑にしていた。


(恐らく古ちゃんが気を学べば、あの豪徳寺って奴を早々に越えるだろうな。 元々中国拳法は気を使うことを考えた技だし……)

何の因果か豪徳寺に『気』を習うことになりそうな古菲だったが、『気』に関して言えば古菲の方が『気』を扱う基礎的な技術を持っている。

実は現時点でも古菲は無意識に『気』を使ってる時があり、横島の見立てでは『気』の扱いは豪徳寺より上手いのだ。

恐らく豪徳寺が『気』の扱いを教えれば、古菲は早々に豪徳寺を越える可能性が高い。


(じいさんにでも忠告しとかないとダメか……)

この時横島は木乃香が魔法に関わる可能性が増したことを、近右衛門に伝える必要があると考えていた。

まあ木乃香の護衛として現在も魔法関係者が一人と刹那が近くに隠れてるので報告はいく可能性があるが、古菲が『気』を習得して大々的に使うと厄介なことになるのは明らかだった。

横島は悪気などまるでないバトルジャンキーな豪徳寺の迷惑な行動に深いため息をつく



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