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平和な日常~夏~2

そのまま木乃香・明日菜・夕映・のどか・ハルナと合流した横島達は、龍宮神社まで電車で移動していく。

横島の店や女子寮から龍宮神社まではさほど距離がある訳ではないが、歩いて行くには少々遠い距離なのだ。


「おまつり~、おまつり~」

そして神社まで後少しとなり浴衣姿の人々が増えるに従って、お祭りが楽しみなタマモはご機嫌な様子で先頭を歩いている。

最近は店の客にすっかり顔見知りも増えており、横島共々よく声をかけられるとタマモは嬉しそうに返事を返す。

そんなタマモだったが龍宮神社の近くの空き地で大勢の人だかりが居るのを見つけると見知った人の匂いを感じて近寄っていく。

人だかりの近くに行くとぴょんぴょんとジャンプをして中心を見ようとするが、残念ながらタマモの身長では見えるはずがない。

どうしようかと困ったような表情を僅かにするタマモに、横島は笑顔を浮かべて肩車をして中心を見せてあげた。


「あれは確か古ちゃんと……」

「高等部の豪徳寺先輩ね」

タマモに中心を見せた横島は一緒に人だかりの中心を見るが、そこにはチャイナ服の古菲と相変わらず学ラン姿の豪徳寺薫がワクワクとした表情で見合っている。

しかも近くには手作りの看板があり、参加費が五百円で膝を地面に着かせたら賞金五千円と書かれていた。


「あいつ豪徳寺って名前なのか。 前に困ってる女の子助けてたの見たんだが」

「あの人は有名人よ。 今時珍しい硬派って感じなのにやたらと強いらしいから。 しかもいい人らしくって、よく人助けしてるから高等部近辺だと知らない人居ないわよ」

豪徳寺の名前を知っていたのは噂好きのハルナだった。

木乃香達は知らないようだったが結構な有名人らしい。


「何があるのですか?」

「夕映ちゃん見えないなら肩車……」

「結構です!」

そんな古菲達の光景は横島やハルナや明日菜はかろうじて見える位置だったが、身長が低い夕映はぎりぎり見えないらしく何があるのか尋ねる。

横島はそんな夕映にニヤリと笑顔を見せて肩車を勧めるが、当然即座に拒否していた。


「ええなー。 うちお願いしようかな~」

それが冗談なのは理解してるが、それでも若干顔が赤い夕映は横島に肩車をされる自分を想像してしまったのかもしれない。

しかしそんな横島の言葉に真顔の木乃香は、自分も肩車して貰おうか真剣に悩んでしまう。

もちろん肩車は明日菜と夕映の説得により回避されるが……。

説得されても結構残念そうな表情をする木乃香の様子を見ると、割と本気で肩車をして欲しかったようである。


「こんなとこで勝負を商売にするなんて、どういう神経してるんだ?」

「麻帆良では割とよくあることですよ。 古菲さんなんて毎朝誰かに勝負を挑まれてますし」

神社のお祭りの近くで格闘技というか喧嘩と言うか勝負を商売にしてる豪徳寺の神経を横島は疑うが、麻帆良ではよくあることらしく説明してくれた夕映やおとなしいのどかまで冷静だった。


「バトルジャンキーかよ……」

説明を聞いてポツリと呟いた横島は、かつての友人を思わず思い出して苦笑いを浮かべていた。



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