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新しき絆

百合子は中に入って雪之丞の前に座った

「息子がいろいろお世話になってます。 本当にありがとう」

百合子は雪之丞に深く頭を下げた


一方雪之丞は驚いていた

初対面の横島の母親が自分の顔を知っていたのも驚いたが…

すぐに頭を下げたのにも驚いた

「いや… 頭を上げてくれ… 俺は横島のダチだからな…」

雪之丞は困ったように百合子に話した

「いつも息子の力になってくれて本当に感謝してます」

百合子は真剣だが柔らかい表情で話した

雪之丞は百合子の様子に考えていた

「あんた… どこまで知ってるんだ?」

雪之丞は百合子の様子を伺いながら話した

「私はこの一年間の息子の様子を調べさせました… 一年前の事件から現在まで… もちろん、雪之丞君が息子と仕事してることや、修行してるのもね」

百合子は表情が変わらなかったが…

後悔しているのは言葉に現れていた


「そうか… 俺はダチだからな… 別にかまわんさ」

雪之丞は無表情のまま話した


そして、しばらく沈黙が続いた


その時…

コンコン…

再びドアが開いた

「横島~ 帰ってるの?」

室内に人の気配を感じたタマモが入ってきた

「あれ… 雪之丞じゃない? その人誰…? 横島に似てる匂いがするわ…」

タマモは百合子を見て不思議そうに話した

「はじめまして、私は横島百合子。 忠夫の母よ… あなたがタマモちゃんね?」

百合子はタマモに笑顔で話しかけた

「横島のお母さん…?」

タマモは驚いて見ていた

横島から親の話を聞いたことが無かった…


「ええ… そうよ。 息子が世話になってるわね ありがとう」

百合子はタマモに優しく話した

あまり初対面の人間は苦手だが…

横島の親なら別だった…

「私はタマモよ。 よろしくね」

タマモは笑顔で百合子に話した



それから三人は横島の昔話などで盛り上がった


そして、夕方になって横島が帰ってきた

「ただい……ま…」

横島は部屋を見て固まっていた

雪之丞やタマモに混じって百合子が見えたからだ


「俺疲れてるのかな… 幻覚が見える」

横島は目を押さえて呟いた


百合子はいつの間にか横島の間近にいた…

そして、横島に包丁をつきつけた!


「ヒッ!!」

横島は怯えたような顔をしたが…


百合子は見逃さなかった

横島が一瞬、防ごうとしたのを…

そして、目が怯えていないのを…


(やっぱり… あの報告書は事実なんだね…)

百合子は心の中で呟いた


息子を自分の目で見るまでは信じられなかった…


だが…

一瞬で理解した…


全て事実なのを…


だが、表情には出さなかった

「さあ! みんなで食事にでもいきましょうか! 私がご馳走するわよ」

百合子は雪之丞とタマモを見て微笑んだ

「お袋… それより何しに来たんだ?」

横島は少し困ったように聞いた


「親が子供の様子を見に来るのに、理由がいるのかい? それよりいい店知らないかい?」

百合子は横島を見て少し呆れたように話した

「ああ… 店は知ってるが…」


それから横島達は魔鈴の店に向かった
 
横島が知ってる店はうどん屋以外は、魔鈴の店くらいだから…


横島達は歩いて魔鈴の店に行った

「いらっしゃいませ」

魔鈴は横島達を笑顔で迎えた

「こんばんわ、魔鈴さん…」

横島は百合子の存在を何と話すか決めて無く、少し困ったような顔で魔鈴に挨拶した

百合子は横島が紹介する前に、自分から話しかけた

「息子がいつもお世話になってます。 忠夫の母です」

百合子は笑顔で魔鈴に挨拶した

「あら、横島さんのお母さんですか!?」

魔鈴は珍しく驚いていた…

話にも聞いたことの無い母親が来たのだから…


「私は魔鈴めぐみといいます。 この店のオーナーシェフです。」

魔鈴は驚きつつも、笑顔で挨拶した

横島の母親に初対面なのだ

ここで悪い印象は与えたく無かった…


(横島さんもお母さんを連れてくるなら、前もって連絡をくれれば良かったのに… 心の準備が…)

魔鈴はいきなり好きな人の親との対面で内心ドキドキしていた…


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