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GS横島 運命と戦う者

売り言葉に買い言葉とはよく言うが、雪之丞もそんな感じで西条に話していく


元々、喧嘩っ早い雪之丞

しかも、エリート風を吹かせて、善人気取りな西条を雪之丞は好きでは無い


その為、西条を責めるように睨んでいる


「僕は…、僕は…、」

西条はそのまま無言で店を後にする


「随分、はっきり話したな…」

西条が去った後、マスターは西条の後片付けをしながら話しかける


「あいつは嫌いなんだよ。 弱者の気持ちなんて理解できない癖に善人気取りだ。 見下されながら助けられたって誰も嬉しくない」

雪之丞は少し不機嫌そうに話す

雪之丞は西条が話した、[弱者の為に頑張って来た]の言葉にイラついている

見下して、助けてやってるんだと言う気持ちが丸わかりだった

誰にでもプライドがある

そんな気持ちで助けられて、心から喜ぶ人は居ない


小さな頃母親を失ってから、天涯孤独だった雪之丞

善人気取りで、助けてやると言う人間が一番嫌いであった

そんな人間は結局、弱者は見てないのだから…


雪之丞が横島を気に入った理由には、その辺も関係している

横島は決して人を見下さない

相手が誰であっても…

横島自身が幸せで無かったと言う理由もあるだろうが、人間以外の神魔妖でも対等に見ている横島の本質を雪之丞は知っていた


人と関わらなかった雪之丞が横島を気に入った理由である



その頃美智恵は…


東京湾の真ん中にある、アクアラインの海ほたるに居た

その場所はあの戦いで、美智恵達Gメンが最終防衛ラインを敷いた場所

そして東京を守るように現れた、あの神魔最高指導者を目撃した場所


美智恵は同じ場所からずっと夜の海を眺めている

何も言わず表情も変えずに…


「どうしてこうなったのかしらね…」

何時間振りかに発した言葉はそれだった


「確かに私のやり方は強引だったかもしれない… でも、弱い人間が魔神に対抗するには他に方法なんて無かった」

今の美智恵の表情は西条は元より、令子ですら見たことが無い表情

弱く覇気の無い

まるで別人のような表情をして一人呟いている


夜の海は暗く冷たい

そんな闇のような海に美智恵は、全てを吸い込まれそうに感じる

「あなた… 令子… ひのめ…」

美智恵は家族の名前を呟き、自分に言い聞かせる

自分はこんなところで負ける訳にはいかない

美神の名にかけて…


たとえ世界を敵に回しても…

自分の家族は守る!


地位も名誉も全て失ってもプライドは失わない


夜の闇が辺りから消えていく…

地平線に朝の光が見え始める頃


美智恵はいつもの表情に戻り、その場を後にする

「私を敵に回した連中に後悔させてやるわ!」

美智恵は世界に宣戦布告するように言い放ち東京に戻っていく


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