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平和な日常~夏~2

そして次の日になり朝の日課を終えた横島達は出掛ける準備を初めるが、驚きと言うか驚愕したのはさよだった。


「これが私……」

六十年以上麻帆良から出られなかったさよは朝から人一倍はしゃいでおり、ニコニコと笑顔を見せていたが横島がさよを呼び止めて手をかざすとなんとさよの体が突然実体化して鏡に映っていた。

数十年ぶりに鏡で自分の顔を見たさよは一瞬何が起きたのか理解出来ないほど驚愕してしまったのだ。


「とりあえずその姿なら人にも見えるし飲食なんかも出来る。 ただし壁ぬけは慣れないと出来ないから気をつけてな」

驚愕のあまり思考が止まってしまったさよに、横島は説明など一切せずに注意事項だけを話していく。

さよの隣ではタマモとハニワ兵がそんなさよの様子を見守っていたが、タマモは正直何が起きたのか理解してないしハニワ兵は横島をよく知るゆえに今更驚くことはない。

たださよ本人が冷静に状況を受け止めるには、もう少し時間がかかりそうである。


その後しばらく固まっていたさよはようやく思考が動き出したようでキャーキャーと騒ぐが、タマモは意味も分からずに一緒に騒ぐなど賑やかになってしまう。


「あの~、いったい何をしたんです?」

「たいしたことしてないよ。 一時的に霊体を強化しただけだからさ」

しばらくして落ち着いたさよはようやく横島に事情を確認するが、横島は相変わらず適当な説明しかしない。


(一時的とはいえ神格化したなんて、流石に言えんよな~)

さてそんな横島がさよにしたのは、一時的な神格化だった。

そもそも幽霊の霊体も神魔の体も基本的には同じであり、性質や強さなどの桁が違うだけである。

横島はさよを実体化させる方法を幾つも知っているが、条件に食べ物を食べれるようにすると考えると結構限られてくるのだ。

結局一番簡単だったのが、さよを横島の一時的な眷属として神属性にすることだった。

他にも一時的な魔族化や妖怪化なども可能だったが、さよに与える影響が一番少ないのが神属性だったのである。

それに神族が人界に居ないこの世界では珍しいというか有り得ないようなことだが、元の世界では割とよくあることだった。

かつては横島自身も竜神の装備で一時的な神格化した経験があるくらいだし、それなりの力のある神族だと眷属の一人や二人を一時的に作るのは簡単なことなのだ。


「それじゃ出掛けるか」

自分の状況が未だに信じらんないさよだが、楽しそうな横島やタマモの笑顔に気にするだけ無駄なのかとなんとなく納得してしまう。

そのまま出掛けようとする横島達だったが、ここで二つほど問題が起きる。

一つはタマモがハニワ兵も連れて行くと言って譲らないのだ。

一人だけ残されるのは可哀想だと言い横島とハニワ兵本人を困惑させる。

もう一つは例によって車が二人乗りだということだ。

正直思い入れはある車なのだが使いやすさで言えば、決していい車ではない。


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