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魔鈴心霊相談事務所始動!

それから数日後、横島達はすでに忙しい日々を過ごしていた

異界の魔鈴宅の隣にはカオスが研究所を新たに建てる事にしたのだが、カオスが設計した物を横島・雪之丞・マリアで建て始めたばかりでありやはり時間がかかっている

加えて横島には高校があるし、魔鈴と雪之丞は事務所設立に伴う雑用に追われてたのだ


一方カオスは魔鈴の自宅の一室を借りて、魔鈴が戦闘に使う魔法の杖の作製に取り掛かっている

未来で魔鈴が使っていた魔法の杖は特殊な材料と魔法を複雑に重ねて作製した為に、魔鈴本人かカオス以外は造れない代物だった

いかに魔鈴が希代の天才魔女とはいえ、対神魔クラスに通用する魔法を使うのは簡単ではない

まして今の魔鈴は逆行前の全盛期と比べると、霊力値はかなり低いのだ

対メドーサ戦を想定すると一刻も早く魔法の杖の完成が急がれていた



そしてこの日、横島のクラスにピートが転入して来ていた

歴史通り女子達にチヤホヤされるピートに、横島・愛子・タイガーは遠巻きに見てるしか出来ない


「凄いモテっぷりねー」

「まあ美形だからな」

女の子ばかりに囲まれるピートを愛子は感心しながら見ているが、横島は微妙に苦笑いを浮かべている

いくら女子達がピートを好きなっても、ピートが学校で相手に踏み込む事は未来ではなかった事なのだから


(あいつの抱えてるモノを受け止めるほどの女は居ないか……)

ブラドー伯爵を父に持ち、バンパイアハーフとして生きるピートを射止めるのは想像以上に難しい

生半可な覚悟ではピートが心を開かないのだ


しかし問題は横島のクラスの男子達にもある

かつての横島も決して褒められた人間ではなかったが、だからと言ってすぐに横島を馬鹿にして吊るし上げにする男子達もまたモテるはずがなかった

女子の大半が横島だけでなくそんな男子達をも軽蔑してた事実を、彼らはあまり理解してない

逆に母性本能をくすぐるような横島に密かな人気があった原因は、そんな他のクラスメートのダメっぷりにも関係があるのだろう


「横島君は彼女出来たから余裕あるわね。 まああんな美人が居て不満がある訳ないわね」

「まあな。 めぐみは俺にはもったいないくらいの人だよ」

あの日魔鈴が学校に来て以来、クラスの男子達は魔鈴の話題について一切触れなかった

元々横島を馬鹿にしてた者は特に横島に彼女が出来た事実を認めたくないのだろう

反対に女子達は割と横島と魔鈴の関係を聞きたいようで、以前よりも横島に話しかけてくる者が増えていた

最近は魔鈴のお弁当チェックは、お昼の恒例行事になっている

味付けやレパートリーが気になる女子達が毎日横島の弁当を覗きに来るのだ

結果的に横島は女子達と弁当を食べる日々が続いている

まあ元々学校では過度なセクハラはなかったし、過去に来て以来セクハラ紛いの発言すら消えた事で女子達は横島に話しかけやすくなったのだろう


「本当に余裕なの横島君くらいね。 他の男子達ときたら……」

「お前も割と冷静だな。 ピートにアプローチしなくていいのか?」

女子の大半がピートに群がる姿にクラスの男子達は面白くなさそうにしているが、あえてピートを批判する者はいない

そしてピートに群がらない女子の一人、飛鳥可奈は横島と愛子の場所に来て横島の様子を伺っている

彼女もまた最近横島がよく話すクラスメートで、お弁当チェックの常連である

未来ではあまり話した事ないクラスメートなのだが、何故か過去に来て以来横島と話す機会が増えていた



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