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新しき絆

それからしばらくしたある日…

脱税の書類とにらみ合っている令子に、おキヌが話しかけてきた

「美神さん、後数ヶ月で横島さん卒業ですね…」

おキヌは令子の機嫌を伺うように話した

「そう言えばそうね…」

令子は少し考えるように話した

「卒業したら、横島さんの給料どうするんですか?」

おキヌは遠慮しながらも令子に聞いた


「どうもしないわよ? GSは高卒の資格で時給変わる訳無いじゃない」

令子は当たり前のように話した

令子自身は多少は時給を上げようと考えていた

それでも時給500円くらいだったが…

だが、それを言う令子では無かった

横島が最後の最後まで頭を下げたら、仕方なく…

と言った感じだろう…

おキヌは不安そうな顔で令子を見る

「でも… それだと横島さん生活出来ませんよ? 社会人なんですから最低限の給料は出さないと…」

おキヌは不安そうに話した

「でもね… 馬鹿でスケベだし、未だにセクハラを止めないのよ? そんな奴を社会人として扱えると思うの?」

令子は呆れながら話した


そんなおキヌと令子の会話を偶然聞いていたのは、タマモだった…


シロは一人で散歩に行き、タマモも魔鈴の店に行こうとしたら、そんな話をしていたのだ…


(相変わらずね… 横島が辞めるなんて考えてもない… ここに就職するなんて言ってないのに…)

タマモは令子達がいる部屋に入ると、興味なさげに雑誌を読み始めた

一応話を聞いておこうとしたのだ…


「でも、横島さん荷物持ちから除霊まで頑張ってますよ? 文珠だって美神さんただでとってるじゃないですか…」

おキヌはなんとか横島の時給をあげようとした

横島の生活をあまりに可哀想だと思ったのだ


「あいつは私の丁稚なのよ! あいつの能力をどう使おうが私の自由なのよ!」

令子は当たり前のように言い切った

おキヌは困ったような顔で令子を見ていた


そんな令子とおキヌの会話…


昔の横島を知る人からすれば、普通の会話…


だが…

顔色を変えずに呆れて聞いていたのはタマモだった

(彼女達は横島の何を見てるのかしら… 横島に一番近い人間だったはずなのに… 今は横島の一番遠い場所にいる…)

当たり前の日常…

横島が居て当然の場所…

だが彼女達は横島を見てない


横島の過去を知る彼女達が、何故横島を支えてやらなかったのか…

タマモは不思議で仕方なかった

結局、令子もおキヌも、横島ではなく

横島と一緒にいる自分を見てるんだろう…

タマモはそう思った


(問題は… 私とシロよね… 横島が辞めるなら、卒業と同時が一番いい。 理由に困らないのだから… 私とシロはそれまでに自立する方法を考えないとな…)

タマモはそう考えて、雑誌を置いて部屋を出た


「人工幽霊、散歩に行ってくるわ…」

「行ってらっしゃい。 タマモさん」

タマモは予定通り魔鈴の店に向かった


一方

令子とおキヌは…

すでに横島の話をしていなかった

おキヌも話はするが…

令子に強く言える訳もなく、話を変えられていた



そして、タマモは魔鈴の店でキツネうどんを食べていた

ズルズル…

ズルズル…

パクパク…
幸せそうにキツネうどんを食べるタマモ

魔鈴はタマモが行くと、おやつを出して一緒にお茶をしていた

今日はキツネうどんだったらしい


「ふー、美味しかったわ。 ありがとう」

タマモはキツネうどんを食べ終わると、魔鈴にお礼を言った

そして、先ほどの令子とおキヌの会話を魔鈴に話し始めた

「そうですか…」

魔鈴は考えこむように話した


「愚かよね… 横島が辞めるなんて考えても無い。 横島がどれだけ苦しんでるか知らないんだから…」

タマモは呆れたように話した

「美神さんは自分が全てですからね… 自分が横島さんとルシオラさんの犠牲の上に生きてるのを、理解してないんですよ…」

魔鈴は少し顔をしかめて話した
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