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平和な日常~夏~2

それから数日が過ぎた七月中頃、麻帆良学園は大学部などの一部を除き夏休みに入ろうとしていた。

期末試験も無事乗り切った2-Aの少女達は、補習を受ける者を一人も出さずに夏休みに突入することが出来るらしく相変わらずテンションが高い。

そんなクラスメートを静かに見つめる相坂さよだが、他の少女達に負けず劣らず楽しそうだった。

元々幽霊で話し相手も居ない彼女は、一人で暇になる夏休みはあまり好きではなかった。

しかし今年は横島やタマモなど会話をする友達が出来たし、近いうちに麻帆良の外にも遊びに行けると約束していたので楽しみなことが多いようである。


「あれ、エヴァンジェリンさんも今帰りですか?」

そんなさよも終業式も無事に終わりいつものように横島宅へ帰宅しようとしていたが、偶然同じ帰宅途中らしきエヴァを発見し声をかけていた。

横島の半ば勝手な押し付けで友達になった二人だが、顔を合わせれば挨拶をするくらいの友人にはなっている。


『お前か』

「あれ、エヴァンジェリンさんもしゃべらないで話せるんですね」

さよに声をかけられたエヴァだが周りには多くの中等部の少女達が同じく帰宅途中で居るので、多少面倒そうにしながらも念話で返事をするがさよはエヴァも念話が出来たことに驚きの表情を見せる。

横島とは人が居る場所では割と念話で話をするので慣れてるが、タマモは使えないのでさよは横島が特別だとばかり思ってたらしい。


『特別難しいことではないからな。 あの男は説明しなかったのか?』

「テレパシーみたいなものだって言ってましたよ」

さよが念話に慣れてることにあまり驚きがないエヴァだが、念話自体は多少魔法を覚えれば使える物であり珍しくない。

横島ならば恐らく使えるだろうと考えていたので不思議ではないが、さよにしたいい加減な説明に少し呆れた表情を見せる。

最も横島の術とエヴァの念話では同じ効果でも具体的には違うので、実はエヴァも多少勘違いしてるのだが。


「最近の人は凄いんですね!」

『厳密に言えば私は人間とは違う。 それに幽霊が見える人間を普通とは言わない』

エヴァが念話を使ったことでさよは最近の人は凄いとまた勘違いを始めるが、エヴァは多少言葉を選びつつ普通ではないとさよに説明していく。

流石に魔法や自身の正体は説明が面倒なのでするつもりはないらしいが、さよが見える人間は特別だということは理解させたいらしい。


「そうなんですか? タマモちゃんもハニワさんも見えるんですが……」

『あの娘は妖怪だからな。 それとハニワさんとは誰だ?』

「横島さんのお友達ですよ。 教科書に出て来るハニワの姿をしていて、お掃除とか裁縫をしてるんです」

そのまま何気ない会話を続けるさよだが、彼女は無自覚のままハニワ兵の存在をエヴァにばらしてしまう。

しかしエヴァはこの件に関しても特に驚くこともなく聞き流していた。

恐らく式神かゴーレムか人形の類かと予測は出来るし、ある程度の術者ならば対して不思議な行動ではない。

茶々丸やチャチャゼロと共に居るエヴァからすると、やはり横島も相当な実力者だと再認識する程度だった。

結局二人はそのまま途中まで普通に一緒に帰ることになる。




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