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平和な日常~夏~

「そういえば、あれからなんか進展あったの?」

高畑の話題が一段落すると、シャークティはタマモとあやとりをする横島に視線を向けて何か進展したのか刀子に尋ねる

先程よりもかなり小声なのは、二人が認識阻害の魔法を使わずに普通に話をしてるからだろう

理由は以前も説明したが、認識阻害の魔法は同じ魔法関係者には効果がほとんどないのだ

従って万が一にも横島に聞こえないかシャークティが心配して小声になったのである

ちなみに横島は聞こうと思えば小声でも関係なく聞こえてしまうが、普段は聞かないようにしていた

その辺りは流石に客に配慮してるが、実は異空間アジトで麻帆良の各地や重要人物を二十四時間監視してる土偶羅には全部聞かれて記録されていたりする

まあこの辺りは異空間アジトのメインシステムを使って広大な監視対象を二十四時間監視しており、必要な部分などを土偶羅が纏めているのだが……

そもそも土偶羅はあちこち監視したり調査したりはしているが別に視覚で見ている訳ではなく、異空間アジトにあるコスモプロセッサー型のメインシステムを使って監視や調査した物を土偶羅が管理してるに過ぎない

横島に渡される報告は土偶羅が必要に応じて纏めた情報の極々一部なのであった


「しっ……進展って、そんな関係じゃないって言ったでしょ!?」

さて話を戻すがシャークティに横島との関係の状況を聞かれた刀子は、僅かに動揺した様子で進展するような関係ではないと否定する


「刀子。 幸せは待ってても来ないわよ。 いろいろ噂になる人だし、誰かに先を越されてからじゃ遅いと思うわ」

あれからまだそれほど日にちは経過してないが、それでも全く関係が進展してない刀子にシャークティは友人として念を押すように話をしていく

戦闘では迷いなど全くない刀子だったが、反面恋愛には弱くまるで別人のように行動力がない

麻帆良祭でも横島は写真が有名になった木乃香や、ストーカーの件が騒ぎになった千鶴などと噂になっていたのだ

特に学園長の孫である木乃香と横島のあの写真はインパクトが強く、魔法関係者の間では木乃香の将来の婿候補かと噂が出ていた

横島の店には木乃香がバイトをして毎日のように出入りしているし、近右衛門も時々訪れてるのは比較的知られている訳だし

横島も近右衛門も今のところは全くその気がないのだが、いつの間にか横島は近右衛門の子飼いの人材であり将来的な木乃香の婿候補かと噂が立つのは仕方のないことだった


「………それは分かってるけど、お嬢様の存在もあるし生徒に混じって競うのは教師としてどうかと……」

「やっぱりそんな関係なの?」

「婿とかの噂はデマだと思うわよ。 学園長は知らないけど、彼はそんなつもりはないと思うわ。 恋愛とかの関係じゃないもの。 女性が苦手らしいし」

相変わらず自分の全く感知してないところで噂になる横島だったが、厄介なのは噂が噂を呼び何が真実かわからないほどごちゃごちゃになったことだろう

横島と親しい刀子は婿の噂はデマだと理解してるが、そんな彼女ですら横島は女性が苦手だと勘違いしている

そんな親しい人の勘違いが新たな噂を呼ぶのだから、最早横島にはどうしようもない世界だった

一方の刀子は横島が気になるのは変わらないが、現在の立場や状況を考えればなかなか進めないのは仕方のないことである

それだけ魔法使いと教師の両立は難しかった



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