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幻の初恋

そして次の日

いつものように学校に登校した横島だったが、教室の空気が殺伐としていた


「おはようっす」

挨拶をしても男子には逆に睨まれ、女子には疑うような目で見られる

横島はそんなクラスメートにビビって視線を逸らして席に座った


「おはよう、横島君」

いつもと変わらぬ挨拶をしたのは愛子である

横島はホッとしたようにクラスメートの殺伐とした様子の理由をたずねるが…


「横島君、昨日の帰りを忘れたの? 随分綺麗な女の人だったわね~」

一瞬ムッとした愛子だが、表情には出さずにニヤニヤとからかうように昨日のことを持ち出す


「ああ…、そう言うことか…」

理由がわかった横島はクラスメートを相手にしないことに決めたようで、あくびをしながら外を眺める


「あの人が横島君を助けてくれる神様なのね? 随分親密そうだったわね。 まるで……恋人みたいに」

表面上はニコニコした笑顔の愛子だが、横島と小竜姫の関係を探るように核心に迫る


「えっ…!? いや~ まあ~ アハハッ…」

愛子の言葉に返答に困る横島は笑って誤魔化すが、その表情は満更でもないらしく幸せそうだ


(やっぱり敵なのね…)

横島の表情を見た愛子は横島と小竜姫がかなり親密なのを悟った



その後、いつも通り授業を受ける横島

クラスメートは相変わらず殺伐としてるが、横島としては気にしてないようだ


そして放課後、愛子は昨日と同じようにピートとタイガーを自分の机の中に呑み込んでいた


「さて、報告を聞きましょうか?」

まるで先生のように黒板の前に立つ愛子

対してピートとタイガーは、最前列の席に座らされて顔を真っ青にしている


「はっ、はい! 昨日は学校で腕を組んだまま、商店街へ向かいゲームセンターに行きました!」

ピシッと敬礼して報告するピート

だが足元は震えていた


「それで、中の様子は? 何してた?」

無表情で氷のような視線を向ける愛子に、ピートとタイガーは体の芯から震えが倍増する


「それが… それが…」

ガタガタ震えて口ごもるピートに、愛子は一歩一歩と近寄り、指し棒のような物でピートの顔をなぞる


「せんせいは、すなおじゃないこはきらいよ?」

ニッコリ微笑む愛子だが…

まるで南極が暖かく感じるほどの冷たい気配が辺りに漂い

その表情は絶対零度よりも冷たい笑みに見える


「かっ、肝心なとこで… みっ美神さんにじゃ邪魔されました!」

慌てて答えたピートの話に愛子は考え込む


(そう言えば美神さんはどうしてるのかしら… あの人横島君に結構執着してたはずよね… 相手が神様じゃピート君とタイガー君じゃ役にたたないし…)

愛子はそこまで考えて新しい玩具を見つけた子供のように、嬉しそうな笑みを浮かべる


「2人に新たな宿題を出します。 3日以内に横島君と美神さんの現状を提出しなさい。 出来なければ… わかってるわね?」

まるで先生のような口調だが、優しさなどかけらも無い

絶対零度の笑みとオーラでピートとタイガーの周りは凍らされていた


「「イッイエッサー!!」」

ピシッと敬礼が決まった2人に満足そうな笑みを浮かべた愛子は、ようやく2人を解放してこの日は終わった


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