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あの素晴らしい日々をもう一度

さてここ数日間の小竜姫だが日中も別に寝てたばかりりいた訳ではなく、アパートの大家や隣近所に挨拶に行ったり部屋を少し模様替えしたりしていた。

元々横島のアパートは築年数が古いことで家賃も安いことからあまり口うるさいことはないが、それでも住む人数が変わるならば挨拶は必要である。

まあその辺りは横島が学校に行ってる間に小竜姫が一人で済ませたのだが、正体は隠しても小竜姫に大家が悪い印象を持つはずもなくあっさりと済ませていた。

大家いわく溜まり場にしたり夜中に騒いだりする人も以前は居たらしく、横島はまだ大人しい方だと小竜姫に語っていたりする。

ちなみに小竜姫は素直にお付きあいをしていると言っていて横島は年上の彼女と同棲を始めたのだと周囲に見られることになる。


後は近所の商店街やスーパーを見て歩いて買い物をする場所を探したり、元々男の独り暮らしでお世辞にも住みやすいと言えないアパートを模様替えなんかもしていた。

結果としてここ数日で横島の部屋は変わったが、一番変わったのは横島がほとんど使わなかった台所であり調味料や調理機器もろくに揃ってない台所は完全に小竜姫の好きなようにしたのでかなり変わっていた。

部屋の方は横島が押し入れを整理して半分空けたので小竜姫はそこに私物を入れていて、他はホームセンターなどである安い収納ボックスを置いたくらいである。


「そういや、小竜姫様やけに電化製品に慣れてますね。 前に天龍の時に久しぶりに人間界に来たって言ってたような。」

そんなこの日も修行のあとに簡単な除霊の仕事を終えた横島と小竜姫はすっかり日が暮れた頃に帰宅したが、夕食は午前中に作っていた物を温めるだけのようだ。

昨日小竜姫が何処からか安い電子レンジを購入して来たので今までよりもかなり便利になったが、横島はなんとなく小竜姫が電子レンジを知っていたことを不思議に感じていた。


「妙神山にも電化製品はありますよ。 ただ出来れば美神さん達にはその話はしないでくれると助かります。 横島さんにはいずれ話しますが私にも少々事情がありまして。」

横島としては特に疑うという訳ではなくなんとなく疑問を尋ねただけだったが、小竜姫は妙神山の実情を少し話した上で横島に口止めをする。

実は妙神山は斉天大聖が新し物好きなので電気も使えるし電化製品もあるのだ。

小竜姫自身は電化製品に興味がなかったので斉天大聖のお古の白黒テレビと今では骨董品に近い初期型の電子レンジなどくらいしか使えなかったが。

ただあまり日常生活の疑問を指摘されると過去の自分とつじつまが合わなくなるのも確かであり、小竜姫自身はいつの日か横島には自分が未来から来たことを明かすつもりだがそれまではあまり騒がないで欲しかった。


「いや、別に言いませんけどね。」

小さなテーブルで小竜姫と二人向かい合って食事をする横島は、事情があるという小竜姫にそれ以上何かを聞くことなどなく疑問は気にしないことにするが、この時ふとなんとなくだが良くある昔話を思い出してしまう。

昔話では人外と一緒に暮らすなり関わるなりすると、大抵するなと言われたことをして関係が破綻して終わることがある。

横島は下手な事を言えば小竜姫が目の前から消えてしまうのではと少し不安になっていた。

考え過ぎかなと思わなくもないが、横島自身は妙に優しい小竜姫故に逆に心配になってもいる。


「私の上司である老師様は私よりも人間の文化に詳しいですし、テレビゲームもお好きでよくされてますよ。 正直私はテレビゲームというのが何なのかすら最近まで知りませんでしたけど。」

一方小竜姫にとって電化製品などは人間の文化であり、それは自分には関係ないものだとの認識が昔はあった。

斉天大聖からテレビゲームがどうとか話を聞いても人間の文化に熱中する斉天大聖を物好きな変わり者だと見ていたくらいなのだ。

実際小竜姫が人間の町や文化に慣れるのは本来はアシュタロス戦後のはずなので、ずいぶん先のことになるのだが。


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