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平和な日常~夏~

さて勉強する者や騒ぐ者で賑やかな店内では、一人だけ無言のままスイーツを黙々と食べる者がいた

しかし彼女は別に機嫌が悪い訳でも無ければ不満がある訳でもない

ただ必要が無ければいつまでも無言のままなだけである


彼女の名はザジ・レイニーデイ

言わずとも知れたことだろうが、彼女はこの世界の純魔族である

もうすぐ歴史のターニングポイントを迎える麻帆良を監視するのが彼女の役目であった



突然だがここで少し説明をすると未来とは一つではなく無限とも言えるほど数多に存在し、様々なきっかけや可能性により常に変化していくものである

神魔の一部には未来を見通す者も居るが、彼らは数多ある未来の高い可能性の一部を見てるのでありそれが絶対ではない

特に神魔界に居る上級以上の神魔の存在感や力では歴史など意識しなくても簡単に変わるし、常に変わり続ける未来を見ても正直あまり意味はない

しかしそれは神魔界に限ったことであり人間界は別である

人間の存在感や力では変えれることは限られており未来視が役に立つ

魔族の極一部では未来視により麻帆良が歴史のターニングポイントになる可能性が高いのを知っており、サジはその監視が任務であった


(未来視が役に立たないのは何故でしょう?)

この日女子中高生に勉強を教えたりして忙しい横島の店に来たザジは、相変わらず無言のままスイーツをパクパクと食べ続けているがその思考は別の世界に飛んでいる

そもそも麻帆良の監視が主な任務の彼女だが、事前に聞いた未来の可能性が最近ことごとく変化していた

新しい未来を魔界に問い合わせた彼女だが、何故か現在魔族の未来視が見えなくなっていたのだ

それは則ち魔族の未来視を越える存在がいるとの証だった


(彼は何者なのでしょうか?)

本来ならば魔族の未来視に対抗出来るのは神族のみなのだが、神族は基本的に人界に介入しない

そんなこの世界で魔族が未来視出来ない存在が現れるなど異常事態もいいとこである

その元凶として一番可能性が高いのはもちろん横島だった

未来が狂い始めたのは横島が来た頃からだが、それは横島本人の力でなく間接的に関係があるとザジは思っている

実はザジは横島の実力を人間にしては強い部類に入るは見ているが、その秘密はもちろん見抜けてなかった


(彼と彼の縁者には絶対に手を出すなとは、少し奇妙な命令ですね)

そんなザジが横島を気にするもう一つの理由として、何故か最優先命令として横島と横島の縁者には絶対に手を出すなとの異例の命令が上層部から届いている

はっきりいうと現在のザジの監視や行動は上層部の意思ではなく、一部の魔族の者達による個人の意思による行動なのだ

そんなザジに対し横島には絶対に手を出すなと、上層部から命令が来るのは異例のことだった


(何か得体の知れないモノが動いてるのかも知れませんね)

魔族の未来視を越える存在と横島の関係について、ザジは何か大きなモノが動いているのかと考えを深める

それだけ魔法世界の行く末は神魔界にも影響がある問題であった

ザジは今後の行く末に不安を感じながらも横島を見つめるが、まさか横島本人が未来を無意識に変えてる元凶だとは気付くはずはなかった

というか横島の存在により歴史が変わってるのを理解してるのは、神魔の最高指導者と土偶羅のみかも知れない

横島本人ですら実はそこまで気付いてないのだから





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