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真の歴史へ・その四

一方下水道を脱出した横島とタマモだったが、地上ではすでに数台の救急車が居て唐巣達が運び出した重傷者などが運ばれて行くところだった


「大丈夫かい? そっちも大変だったみたいだね」

「貴重な経験だったわ。 面白いモノが見れたもの」

横島達の姿を見るなり唐巣が駆け寄って来るが、無事な姿に安堵する

そのまま横島達と唐巣は互いの状況を説明するが、戦車が出たとの言葉には唐巣も驚き固まってしまう


「偶然にしては妙だね。 半世紀前の戦車が動くのは不自然だ」

「それにネクロマンサーネズミが四匹か…… 普通ならば何らかの理由により突然変異した新種と考えるのが妥当なんだが」

戦車の不自然さに気付く唐巣に加え警察への説明をしていた西条は、ネクロマンサーネズミの多さに疑問を感じる

何かがおかしいと感じるのはやはり二人も同じようだった


「とりあえずその地下室の確保と警察の鑑識を頼んで来るよ」

西条は事後処理として例の地下室の確保と調査の為に警察の元に向かうが、横島とタマモと唐巣は何とも言えない表情のままその場に立ち尽くす


「何か気になることでもあるのかね?」

「この一件、私達が今調査してる別件に関わるかもしれないのよ。 オカルトGメンや警察では荷が重いかもしれないわね」

西条が居なくなり唐巣は何か確信があるように尋ねるが、タマモは推測だと前置きした上で裏の仕事に関わる可能性を告げる


「そうか……」

タマモの答えに唐巣はそれ以上聞くことはなかった

GS試験の時のように横島達がGSの仕事とは別に裏で動いてることを唐巣は知っているが、具体的な内容はあまり聞いてない

何度か依頼を頼まれたりして代わりに解決はしたが、小竜姫の立場上言えないだろうと唐巣が気を使ったのだ



横島達はそのまま後始末を唐巣に任せて帰ることになるが、タマモの表情は冴えなかった


「ダメね。 誰も来なかったわ」

地下に置いて来た簡易式神を通して戦車のある地下室を見張っていたタマモだったが、とうとう警察が来てしまい別の第三者が来ることはなかったのである

隠しカメラの回収をしに誰かが来るかと期待していたのだが、誰も来なかったのだ


「まあ監視カメラは今の世の中何処でも売ってるしな。 電波を飛ばして離れた場合から見れる物もあるらしいし、証拠さえ残さなきゃわざわざ回収する意味はないんだろうさ」

「なら警察の調査じゃ無理ね」

相手の尻尾を掴むチャンスだっただけに二人は残念そうだが、仕方ないといった表情でもある

あれだけGSや警察がウロウロする辺りに来るのは危険過ぎるのは確かなのだから


「まあ、いいわ。 生け捕りにしたネズミを調べれば何か分かるでしょ。 それよりお風呂に入りたいわ」

あまり冴えない表情のタマモだったが、今は真実の究明よりもお風呂に入る方が優先だった

下水道の臭いが体や服に染み付いてるだけに、嗅覚が敏感なタマモは我慢が出来ないようだ


「早く帰って風呂に入るか。 背中を流してやろう」

「そうね。 でもほどほどにしてね」

「わかってるって」

二人が何を語ってるのかは言わないでおくが、腕を組んで引っ付くように歩く二人は何故か幸せそうだった


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