元々ＧＳは相手とガチンコ勝負する訳ではなく、弱点や特性を見極めて戦うのが主流である

人間がより強い妖怪や魔族と戦うには相手の弱点や特性を見極めなければ勝ち目がないからだが、雪之丞は性格もあり基本的にはガチンコ勝負だった

対する鬼道はＧＳらしい戦い方をするので、自分より強い雪之丞が相手でも油断なく見極め上手く戦うと小竜姫は予想していたのだ

加えて魔装術の部分展開は、本来は全身を自由自在に瞬間的に展開するのが理想だった

雪之丞のように一部だけを常時展開では、相手に攻撃を読まれ安く弱点をさらけ出してるようなものなのだから

本来であれば未完成の欠陥技なのだが、雪之丞はその戦い方が好きらしく腕試しではちょくちょく使っている


「面白い勝負してるわね」

「あの人結構強いのねー」

二人の勝負を見物していた小竜姫の元にやって来たのはルシオラとヒャクメだった

見慣れぬ鬼道と雪之丞の手合わせに興味があり見に来たようである


「鬼道さんは人間のＧＳらしい戦い方をしますからね。　雪之丞さんにとってはいい勉強になるでしょう」

基本的に相手の弱点を探したり弱点を攻撃することを雪之丞はあまり好まないが、ＧＳになるならば弱点を攻撃するやり方を覚えなくてはならなかった


「修羅場の数が足りないのよね。　私達が一緒だってのが一番の理由なんだけど、雪之丞は命を賭けた戦いの経験が足りないわ」

「確かにそれは私達が居ることのマイナス面ですね。　これからは少し私達の居ない戦いや除霊の経験も必要でしょう」

並みの霊能者よりも数段上の実力を身につけつつある雪之丞の最大の問題点は経験不足だった

英才教育と言っても過言ではない環境で驚異的な成長をしている雪之丞は、普通の霊能者と比べて経験が足りない

特に小竜姫達の存在が雪之丞に必要以上の安心感を与えてるため、霊能者として雪之丞は危機感が圧倒的に足りないのだ

なまじまだまだ強くなれる環境なだけに戦い方よりも戦う力を求める雪之丞だが、小竜姫達はそろそろ実戦を戦う上で必要不可欠な危機感や経験を勉強させる頃合いだと見ている



さて雪之丞と鬼道の対戦の方だが、こちらは圧倒的に雪之丞が押していた


（これが見習いの実力やなんて……）

事前に予測はしていたが、実際にはそれ以上の実力差があった事実に鬼道は戸惑いを感じつつ防戦していく

年齢も上だし鬼道自身、誰よりも修行はしてきたと信じている


（やはり才能の違いなのか？）

六道家に拾われて以来、鬼道は才能の差を感じることが多かった

冥子は元より指導する生徒においても、同じ指導をしても確実に差が生まれるのだ

鬼道はそんな現実を受け止めつつも、才能と言う言葉に負けたくないという想いもまた強くなっている

正面から戦っても雪之丞には勝てないと悟った鬼道は、防戦しながらも雪之丞を見極め反撃の隙を狙っていく