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真の歴史へ・その四

突然の小竜姫の提案にやる気を見せる雪之丞と相変わらず戸惑っている鬼道だが、小竜姫は有無を言わさずに異界のいつも修行してる場所に連れていく

家の中から突然異界に連れて行かれた鬼道は多少驚いてはいるようだが、小竜姫が神族なだけに驚くと言うよりは物珍しく見渡す感じである


「雪之丞さんは見習いですが単純戦闘に限れば、GSの中でもトップクラスでしょう。 一方鬼道さんはGSとしての総合力は雪之丞さんより数段上です。 互いに油断しないで頑張って下さい」

雪之丞と鬼道が向かい合う中、小竜姫は簡単に相手の説明をして離れて行った

最低限説明すれば後は普通に手合わせするだけである


「夜叉丸、行くで」

自分より若い雪之丞だが、鬼道は油断することなく夜叉丸を影から出して霊力を高めていく

おキヌと小鳩の高い技術を見ているだけに鬼道に一切の油断はなかった


「普通の霊能者を相手にするのは久しぶりだから燃えるぜ」

一方雪之丞は日頃は横島達かピートくらいしか対戦相手が居ないため、普通の霊能者の鬼道との戦いは楽しみで仕方ないようだ



先手を取ったのは夜叉丸だった

鬼道は自身が雪之丞との接近戦を避ける為に、先手を取って夜叉丸を雪之丞の元に向かわせる


「いくぜ!」

肉体を持たぬ夜叉丸は通常の人間や霊能者よりは遥かに速いスピードで雪之丞に接近していく

そんな夜叉丸に対し雪之丞は両手に霊力を集めて、拳を覆うように手首までの範囲に魔装術を展開する

それは魔装術の応用とも言える方法だった

小竜姫達から散々叩き込まれた霊力コントロールにより、雪之丞は魔装術を手だけに展開することが出来るようになっていたのだ

元々魔装術は全身を霊体化する為に霊力消費が結構激しいのだが、それを攻撃だけに特化させて両手だけに展開すると霊力消費が劇的に少なくなる

少なくなった霊力はより攻撃に向けることが可能なため、雪之丞の性格と相まって雪之丞が最も好きな戦い方だった

弱点としては防御力が全身展開より格段に落ちるが、それに関しては将来的には霊力の使い方次第で両手以外の部分に瞬間的に魔装術を展開することが目標である

ちなみに現在雪之丞が部分的に魔装術を展開出来るのは両手だけだった

手は霊力コントロールをしやすいのだが、他の体の一部だけの霊力をコントロールするのは簡単ではないのだ



そんな訳で拳だけの魔装術で接近する夜叉丸に攻撃をしかける雪之丞だったが、夜叉丸は接近しすぎないように距離を開けて攻撃をかわす

この辺りは長年六道家の式神と戦うための修行が生きており、鬼道は無理に攻めずに雪之丞の攻撃を見極めることを主体に時間を稼いでいる

両手だけの魔装術には流石の鬼道も驚いていたが、反面で両手さえ気をつけていれば攻撃をかわしやすいという雪之丞の弱点をすでに見抜いていた


(すでに雪之丞さんの弱点を見抜いてますね。 相変わらず戦い方が素直過ぎますから……)

二人の戦いは単純な力の差は雪之丞が上だが、経験や修行期間を考えればいい勝負になると小竜姫は予想していた


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