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真の歴史へ・その四

そのまま入口を探す横島とタマモだったが、その時壁の向こうからエンジン音が聞こえてくる


「まさか……」

「来るわよ!」

あまり聞き慣れぬエンジン音に横島とタマモがとっさにその場から離れると壁が爆発して壁に大きな穴があく


「ココハ大昔ニ人間ガ作ッタ城ナンダヨ。 貴様ラガ来ルノハ分カッテイタ」

壁に空いた穴から見えたのは、旧陸軍の軽戦車に乗った見知らぬ男性と三匹のネズミだった

よほど古いのか錆び付いた戦車が動き出す中、タマモは何かを真剣な表情で探っているようである


『横島、隠しカメラで見られてるわ。 気をつけて』

タマモが気付いたのは戦車がある部屋に巧妙隠された隠しカメラであった

何がなんだか分からぬタマモだったが、部屋の空気と僅かに違う匂いに気付いていたのだ


『はっ!? どういう事だ?』

『わかんないけど目立つ術や文珠は使えないわ』

全くの予想外の事態に横島は戸惑いを感じるが、今出来る事は気付かぬフリをしてこの場を乗り切る事だった

ネズミ達は見知らぬ男を操ってるようで戦車の主砲や銃を乱射して横島とタマモを殺そうとするが、二人は下水道に撤退して壁に空いた穴を挟んで状況の把握に勤めている

ネズミを倒すのは簡単だが、歴史と違う裏側があるとすれば罠の可能性もあり迂闊な行動は出来ない


『ねえ、戦車って50年も60年も放置して動くもんなの?』

その疑問に気付いたのはタマモだった

機械類は元々ルシオラの専門な為にタマモは良く知らないが、現代の車ですら定期的に整備しなければ動かない程度の知識はある

仮にネズミ達が偶然に旧陸軍の戦車を見つけだしたとしても、動かせるとは思えないし動くとも思えないのだ


『無理だな。 それに確か戦車は一人じゃ動かせないはずだ』

タマモの疑問に横島の表情も一変する

銃や主砲の音が響く中で二人は冷静に念話を続けるが、一見すると偶然に見せかけた状況が実はかなり不自然な状況だと気付く


『つまり誰かがご丁寧に動くように整備して、監視カメラを仕掛けたってわけね』

『それを偶然にあのネズミ達が見つけて使ったと…… そんな訳ないか』

瞬時に状況を理解するタマモと横島は、疲れたように苦笑いを同時に浮かべる

偶然なのか必然なのかは知らないが、また厄介事なのだから


『未来の時はどうなったの?』

『シロが気を失った俺と負傷したマーロウを背負って脱出したらしい。 美神さんはそのまま俺とマーロウを病院に運んで、戦車は自衛隊かなんかが撤去したって聞いたような……』

未来の記憶を思い出しながら説明する横島だが、タマモの表情は険しいものに変わる


『つまり横島達が去った後、誰かが来るまでこの場合は無人だったのね?』

『ああ……、って事は未来でのこの事件にも裏があった?』

『可能性は高いわね。 ここに偶然戦車があったのをネズミが見つけて、奇跡的に動いたって考えるよりは現実的よ』

ただの除霊だったはずのこの事件の隠された秘密に、横島とタマモはどうしたものかと頭を悩ませつつ様子を見るしかなかった


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