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真の歴史へ・その四

(相変わらずこの人の価値観は自分が中心に世界が回ってるんだな)

何気ない会話の中に横島は僅かに懐かしさを感じていた

利用出来る物は何でも利用するその価値観は、ある意味見習いたいとすら思ってしまう

しかし同時に関わってはいけない人物なのだと改めて感じる

誰もが小竜姫の存在を恐れる中、平然と頼る辺り令子の神経は常人とは別格だった

人として欠けてるモノも多い令子だが、敵に回すと厄介な理由を横島はしみじみと感じしまう


「来るわよ」

「ワン!」

唐巣と西条や横島と令子が会話をしていた次の瞬間、タマモとマローウは同じ方角を見つめながら声を上げた

二人より僅かに遅れて横島が、そして横島より更に遅れて唐巣や西条達も異変に気付き一同は戦闘体制に入る


「助けてくれー!!」

先程来た西条達とは別の方角の下水道から現れたのは、ボロボロの姿をした二人のGSらしき男性と動物霊だった


「今日は厄日か?」

「らしいわね」

オカルトGメンに二度も会った上に一緒の時に襲われるなど、これ以上ないほどの面倒事だと歎きたくなる横島にタマモはクスッと笑みをこぼしている

西条と唐巣は緊張感に包まれてるが、令子は割と横島と同じ感じでけだるそうだ

しかし次の瞬間、それぞれが無言のまま動き出す

横島とタマモが男性達を取り巻く動物霊を弱い霊波砲で引きはがし、唐巣と西条が二人の男性を救助すべく突っ込む

令子は後方に居る助手に簡易結界を出すように指示を出し、撤退場所を確保するなどその動きに無駄はなかった


「大丈夫か! 他に仲間は居るか?」

倒れ込むように走って来た二人のうち一人を西条は受け止めつつ状況の把握を急ぐ


「クッ……、数が多いわ!」

西条と唐巣が二人の男性に接触する中、必然的に横島とタマモと令子は四人を守るハメになるが次々に襲い掛かる動物霊に令子は苛立ちの表情を見せる


「あと……一人…」

「まずいな、傷が深い。 下手に動かすと死ぬかもしれない」

西条が助けた方は倒れ込むように意識を失ったが、唐巣が助けた方は腹部の傷が深く危険な状態だった

早く病院に運ばねばならないが、下手に動かすと出血多量で死ぬかもしれないのだ


「仕方ないわね……」

いくら払ってもキリがな動物霊達と面倒な救助者に、タマモは渋々と一枚のお札を取り出しその場に結界を張る


「これ使って。 治癒札よ。 ただし後で返してよね」

タマモの結界で一息ついた一同だったが、事態は依然として深刻だった

唐巣の方の重傷者を見たタマモは唐巣に治癒札を渡して治癒をさせる

本当はタマモ本人が治癒した方が早いのだが、見ず知らずの霊能者にそこまでしたくないらしい


「全く、だから地下は嫌なのよ。 香港の時といい今回といい地下は嫌いだわ」

一方一息ついた令子は当然のように愚痴りつつも、原因たる何かとを探して霊感を解放していた

流石に緊迫した状況なだけにやる事はやってるようである

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