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真の歴史へ・その四

さて鬼道はかおりやおキヌ達に続きクラスの生徒達も個別に呼び出し話をしていくが、クラスメートとかおりの溝は鬼道の想像以上であった

そもそも六道女学院霊能科でさえ、霊能に人生の全てを賭けるような者は決して多くはない

確かに将来を考え真剣に修行を積む者は多いが、かと言って学校生活の全てを霊能力で計られるのは不快でしかないのだ

鬼道は生徒達に互いに譲る気持ちや思いやる大切さなど語るが、根本的な溝が埋まるはずもなく解決の難しさを悟るのみである


「霊能力が全ての人間の気持ちは理解出来んのか……」

「それは今の生徒には難しいですよ。 彼女達にとって霊能力は一つの手段でしかないんです。 極端な話、GS免許も教員免許や弁護士資格と同じ感覚なんですから。 霊能力に人生を賭けてる子も何人かは居ますが、数は少ないんですよ」

クラスの生徒全員と話した鬼道は問題の難しさに頭を抱えるが、老年の教師は仕方ないと告げて励ますしかない

鬼道は父親の影響でかおりの苦悩や大変さを理解しているが、多くの生徒はそれを理解出来ないのだ

多種多様な文化が広がる現代においては霊能力も一つの力や選択肢でしかなく、人生を賭けるほど絶対的な者は少数派なのだから

協調性がないかおりがいかにクラスメートに疎まれていたかがよく分かる結果だった


「他の子の時はどうだったんです?」

「あの手の子は総じて孤立しがちなんですよ。 今回のように表立って対立することは稀ですが、基本的に他人とのコミュニケーションに難がある子が多いですから。 まあ三年になるとクラス変えでGS専攻クラスになれば、多少は理解がある子達が集まるんですが……」

鬼道は老年の教師に他の時の話を聞き対処に悩むが、いつの時代も問題があったと彼は語る

基本的には最低限のルールを守らせ一人一人を導いていくのが仕事なのだが、霊能科が合わないで辞めて独自に修行する生徒やGSを諦めて早々に普通科に移る生徒も決して少なく無かったのだ

かおりのように霊能力至上主義の生徒は孤立する傾向が強いが、その反面で他人にそれを強要したりする者は少なく、どちらかと言えば己の力を高める事だけを求める者が多いのだという

かおりのように他人に価値観を強要したり仕切りたがる生徒も稀にはいるが、そういった者は総じて上手くいかずに孤立するらしい


「たまに双方に理解ある子がクラスに居ると上手くクラスを纏めてくれる時がありますが、正直あそこまで対立すると難しいでしょう」

生徒同士の個人的な問題は教師が指導するには限界があると老年の教師は語り、生徒の中にクラスを纏める者が現れるのが一番だと語るが現状ではそれも難しかった

未来では偶然とはいえおキヌがかおりや一文字魔理などの孤立する者とクラスメートを繋いでいたからよかったが、この時代では転校する時期の違いから魔理とは接点がなく、かおりと和解するはずの対抗戦も起きないまま悪化してしまったのだ

こればかりは歴史のズレで仕方ないのだろうが、現状としては鬼道が一番苦悩していた


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