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真の歴史へ・その四

「二人を呼んだのは他でもない。 弓の事や。 二人の事情は知ってるが、教えておかなきゃダメな事があるんや」

そしてつぎの日の昼休み、おキヌと小鳩は前日のかおりと同じく職員室に呼ばれていた


「横島も花戸も弓を好かんと思うけど、弓は弓で苦労してるんやで。 あいつは家が歴史ある寺でな。 幼い頃から厳しい修行に明け暮れて来たんや」

話がかおりの問題だと言われたおキヌと小鳩は複雑な表情を浮かべるが、鬼道はそんな二人にかおりの事情を語っていく

生まれた時から将来を決定付けられた環境での、修行だけの日々を語る鬼道の表情もまた複雑そうである

子供らしい子供を送って来れなかったかおりの想いは鬼道が一番理解していた


「一般的な霊能者がGSになるのにどれだけ苦労するかは、二人には解らんやろな。 唐巣神父や横島のお兄さんは才能ある霊能者やからな」

かおりの件はおキヌと小鳩にとってどうしようもない件であり二人は多少困った表情を浮かべるが、そんな二人に鬼道は一般的な霊能者の話を始めている

おキヌと小鳩対かおりの対立は基本的におキヌ達に批はないのだが、おキヌ達の無知もまたかおりとの対立の原因だと鬼道は考えていたのだ

それと言うのもおキヌと小鳩の環境があまりにも一般の霊能者とは掛け離れてる事がある

小竜姫の存在は元より唐巣や横島でさえ。一般の霊能者からすれば雲の上の存在だと言ってよかった

ある意味一般的な霊能者の苦労を知らない二人に、それを教える必要を鬼道はずっと感じていたのだ


「普通は霊力の簡単な解放ですら、何年も修行を積む事も珍しくないんや。 二人みたいな霊力コントロールは一流のGSでないと出来ないのが普通やしな」

大人しく話を聞く二人に、鬼道は自身の経験などを踏まえて一般的な霊能者の修行や苦労を語る

正直おキヌと小鳩は一般的なGSのレベルや話は何度か聞いた経験があるが、鬼道の語は二人の聞いた話よりもキツく苦しいものだった

まあ小竜姫達も二人には一般的な霊能者のレベルや技術の話は教えていたが、あまり実感がないところもあったのだ

はっきり言うと小竜姫達の技術やレベルがぶっ飛び過ぎており、一般の霊能者の苦労やキツさは伝わってなかったのである

実際のところ小竜姫とルシオラはそれほど一般的な霊能者と関わった経験がないし、タマモは前世で一般的な霊能者と関わった経験があるがこちらの場合は時代が時代なだけに一般的な霊能者のレベルが現代と段違いだった

つまり現代社会においての霊能者の苦労や大変さを横島達はあまり知らなかったという訳なのだ


「苦労した人にとっては、霊能力=人生そのものなんや。 二人共、それだけは忘れたらあかんで。 僕は先生として弓の行動を正当化する訳でも擁護する訳でもないけど、弓の気持ちを少しでいいから知って欲しいんや」

神妙な面持ちで話を聞くおキヌと小鳩に、鬼道は少しホッとしたような笑みを見せる

小竜姫の弟子を生徒に持つ鬼道のプレッシャーはハンパではなかったが、鬼道は自分が二人に教えるべき事を教えれた事実に少しホッとしていた
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