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あの素晴らしい日々をもう一度

「明日からは伊達雪之丞も加わるし早いとこ車買わなきゃダメね。」

さて横島が来たことでこの日の仕事に行くことになるが、そもそも令子の車はコブラで二人乗りである。

今日は小竜姫が角形態になったので大丈夫だったが、明日からは雪之丞が加わるので間違いなく乗れない。

まあ令子としては小竜姫が角になったり人になったりするのを人に見られると少々厄介なので早々に買うつもりだった。


「今日の仕事はなんっすか?」

「廃工場の除霊よ。 悪霊の溜まり場になってるわ。 工場自体は多少傷つけてもいいから楽なもんよ。 今日はあんたがどこまで使えるかのテストでもあるんだから頑張りなさい。」

そしてこの日の仕事はごく普通の廃工場の除霊になるらしい。

実は令子は横島と小竜姫が何処まで除霊出来るかテストするつもりでいる。

小竜姫の強さは疑う余地もないが、だからといって何処まで除霊が出来るのかは令子も知らないのだ。

流石に顧客との商談までしろとは言わないが、一般的な除霊くらいは横島達でやってもらえないと普通の仕事では使えないことになってしまう。


「そういや俺の時給どうなるんっすか?」

「ああ、それね。 小竜姫様と話してこれからはあんたは雪之丞と一緒に歩合にすることにしたわ。 私が参加しない除霊は純利益の四割があんたと雪之丞の報酬よ。 六割は事務所に入れてもらうけど、赤字になっても赤字分は請求しないのと消耗品以外のアイテムは自由に使っていいわ。 どう悪くないでしょう?」

今日の除霊でテストされると聞き少しびびり気味の横島であるが前日小竜姫が交渉した時給について尋ねると、これからの収入についてあまりに気前がいい令子に驚愕の表情を見せる。


「悪くないってか気前が良すぎて美神さんらしくないような……。」

「そりゃ私抜きなら一般的な見習いよりは報酬の割合はいいわよ。 その報酬は小竜姫様があんた達の面倒見る分も入っているんだから。 それ以上報酬上げたかったら営業とか顧客との交渉とか報告書とか他の仕事も覚えるのね。」

新しい報酬の割合の多さにぶっちゃけ横島は騙されてるんじゃないかと逆に不安になるが、実際横島と雪之丞の報酬は令子抜きの場合は見習いにしてはかなり高い方だった。

ただこれに関しては今の小竜姫に借りを作る形にすれば後が怖い気がしたので、かなり気を使った結果である。

一般的に見ると見習いというよりは雇われGSの待遇に近い。

純利益の六割を中間マージンとして引かれはするが、赤字の際に赤字分を事務所が引き受けることや横島達が他の仕事が一切出来ないことが理由にあった。

加えて美神令子のネームバリューでの仕事だと考えると条件は驚くほどいい。


「ただし私が一緒の時は一人当たり純利益の一割よ。 一応小竜姫様が知らないことは私が教えなきゃだめだし。 お金が欲しかったら手頃な依頼をあんた達でこなしなさい。」

そして令子が一緒の時の除霊に関しては一人当たり純利益の一割であり、そちらは見習いの報酬に近い。

これに関しては霊能の方は小竜姫が教えるが、それ以外のことはやはり令子が教えなくてはダメなので見習い扱いになる。

流石に何から何まで教えないとは言えないし高額な依頼は令子の利益を増やすことで、最終的にはトータルでは一般的な見習いよりはいい程度の待遇という形に落ち着く。


「良かったですね、横島さん。」

「正直、私が代わって欲しいくらいだもの。 私の見習いの時なんて酷かったのよ。 先生って金銭感覚以前の問題だし。」

単純計算でも今までよりは収入が増えることで、以前の貧乏な横島を知るおキヌも嬉しそうであり令子ですらいい条件だと自画自賛した。

実は令子の場合は師匠が唐巣だったので見習い時代は基本的に無報酬のボランティアであり、唐巣自身の生活ですら成り立たないので令子が半ば強引に裕福な客から報酬を貰って唐巣の生活を支えていたほどなのだ。

ただ横島は自分が本当に除霊が出来るか自信がないらしく報酬が手に入るか不安そうだったが。

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