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真の歴史へ・その四

「横島君……、貴方まさか妖怪達を助けようとしているの? いや、今の横島君がそれだけで済ますはずがないわ」

未来でのアシュタロス戦やタマモの保護の件を聞いた美智恵は、横島がいかに人外にこだわってるかよく知っている

加えて小竜姫の存在も美智恵には不気味だった

ルシオラやタマモが縁もゆかりもない妖怪に同情するかは分からないが、小竜姫ならば横島と共に妖怪達の側に慈悲を示し付くだろう

横島達の関係は美智恵には相変わらず分からないが、横島と小竜姫がやるならルシオラとタマモが人間側に付いて反対するはずなどなかった


「この件には関わらない方がいいわね」

横島達と南部グループの問題に関わるのはあまりに危険だと感じた美智恵は、この件にこれ以上関わるのをやめる事を決める

無論情報収集は強化するつもりだが、南部グループの件は気付かなかった事で通すつもりらしい

実は元々アシュタロス戦後の混乱期に神族に介入されるような危険な一件には、美智恵は関わるつもりがなかったのだ

しかし横島達が動いてる可能性が高い以上、それの邪魔だけはしないようにしなくてはならない


「案外こっちが本命かもね」

いろいろ考えを巡らせていた美智恵だが、ふと横島達の過去への介入の理由が南部グループにあるのではと考えていた

人造魔族の一件はそれだけ神魔界に与えた影響が大きく、神魔上層部はこの一件への介入を考えても不思議ではない

何故過去への介入が横島なのかとずっと疑問だった美智恵だが、相手が人外を弄ぶ南部グループならば横島は最適かもしれない

アシュタロス戦への影響を修正出来て、なおかつ南部グループを排除するには横島が最適だと考えても不思議ではないのだから……


そんな横島達の行動の一部に気付いた美智恵だったが、その思考はやはりズレたまま間違った予測をしていた



一方横島達が保護した人狼だが、こちらはルシオラの研究室で特殊なカプセルの中で眠ったままだった


「どうでござるか?」

「順調だけど、まだまだ時間は必要ね。 精神や肉体にいろいろ手を加えてるの。 ただ霊体や魂に手を加えて無かったのはよかったわ。 時間はかかるけど回復していくわよ」

犬塚ジロウは人狼の側で何かの計測器を見てるルシオラに声をかけるが、その答えに僅かにホッとする

決して現状を楽観視する訳ではないが妖怪である人狼には医者も居ないため任せるしかないし、何よりジロウから見ても分かるくらいには回復しているのだ


「貴方のその目も治せるわよ。 考えておくといいわ」

仲間を見守るジロウに、ルシオラはふと柔らかい笑みを浮かべる

人狼の優しさや絆は見ている方が羨ましくなるほど素晴らしいものだった

生と死の境を生きて来たルシオラには、人狼達のまっすぐな生き方は羨ましく感じたのかもしれない


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