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あの素晴らしい日々をもう一度

「横島君、なにそのお弁当。 お花見でも行くつもりだったの?」

「いや、ちょっとな。」

一方学校に行っていた横島は昨夜の疲れを取るように午前中は爆睡していたが、お昼になるとGS試験の時と同じ三段の重箱弁当を持ってきていた。

そのあまりに豪華でボリューム満点の弁当はクラスメートの注目を集め、まるでお花見にでも持って行きそうな弁当に何事かと声をかけてくる。

横島は余計なことを言って騒がれるのが嫌なので言葉を濁すが、この弁当は小竜姫が今朝持たせてくれた物であった。


「それは……。」

「タイガー! 少しおかず分けてやるからなっ!!」

この時点でその弁当から女性の影を感じたのかクラスメートの数人が微妙な空気になる中、タイガーはGS試験の時に小竜姫が持ってきていた弁当と同じ入れ物だと気づき何かを言おうとするも、横島がまずいと言わんばかりにタイガーにおかずを何品か分けて黙らせる。


「まさか横島に彼女が?」

「いや、あんな馬鹿みたいに大量の弁当を作る女なんて居るか? また変な事件にでも巻き込まれてるんじゃ。」

「横島だしな。」

クラスメートの中にはつるし上げにするか悩む者も居たが、過去に横島がオカルト絡みで変な事件に巻き込まれたりしたこともあるので判断に迷うようだ。

下手に関わってとばっちりはごめんだと思う者は多く、結局今日はつるし上げにされることはなかった。



そして午後になると妙神山から戻った小竜姫は令子と共に雪之丞の住む部屋の確保や公式には雪之丞を美神事務所の所属にする手続きなどをしていく。


「そうですか。 唐巣さんも大変ですね。」

「小竜姫様の力でなんとか出来ないの?」

「出来なくもないのですが介入はしたくないですね。 そこは人間の問題ですし。 私としてはメドーサの計画を潰せたらそれで十分ですから。」

それらの手続きなどが終わると雪之丞には小竜姫から支度金を渡して、生活に必要な準備をするようにと言いこの日は帰していた。

結果夕方頃になると美神事務所には令子とおキヌと小竜姫だけになり、令子はGS試験の後始末の話を小竜姫に振るが小竜姫はこれ以上何かをするつもりがないらしく突き放すような言い方をする。


「別に美神さんや唐巣さんが直接困る訳ではないのでしょう?」

「ええまあ。 先生はGS協会の今後を心配してたけど実害はないわね。」

令子としては下手にGS協会がゴタゴタするよりは小竜姫にさっさと解決して欲しいようだったが、現状の小竜姫は自分と関わりがある令子や唐巣が困る事態でないなら介入はしないらしい。


「どうせとかげの尻尾切りにしかなりませんからね。 メドーサが本気なら今頃は別の人間を脅迫なり勧誘なりしてますよ。」

以前とは違いドライな小竜姫に令子は返す言葉もなく、確かに魔族に協力した裏切り者をイチイチ対応していたらきりがないと思う。

ぶっちゃけ令子は自分に火の粉が降りかからなければいいので、小竜姫が少なくともそこを理解してる以上はこれ以上頼む義理はなかった。


「ちわーす。」

「あら、おかえりなさい。」

その後学校帰りの横島が事務所にやって来ると小竜姫は相変わらず少女のように嬉しそうに出迎える。

令子はそんな小竜姫の姿に僅かにため息を漏らすも、まあ自分には関係ないかと今日の仕事の準備に取りかかることになる。

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