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真の歴史へ・その三

(クッ、私としたことが余計なことを……)

メドーサから離れていく美智恵は余計な事を言ってしまった事を後悔する

相手にしてはいけなかったにも関わらず、悠々と街を歩くメドーサに憎しみが湧いていたのだ

本来は人や神魔に追われるはずのメドーサが人間の街を悠々と歩く姿に、美智恵は怒りと憎しみしか湧いてこない

そんなメドーサを守ってるのが令子を見限った横島な事が、余計に美智恵を苛立たせていた

本来守るべき令子を見限り何度も殺し合ったメドーサを助けるなど、美智恵には理解出来ないことなのだろう

はっきり言うと羨ましいだけである



一方メドーサは、美智恵の言葉に改めて横島の事を考えていた

あの甘い横島に嫌われてる美智恵が何をしたのか興味はあったが、わざわざ聞きたいとは思わない

どうせろくでもない事だろうと感じているし、関わりたいとも思わないのだ


「あれは嫉妬だよね…… 何に嫉妬してるかは知らないけど女の嫉妬は怖いからね」

メドーサは美智恵の隠された感情が嫉妬だと気付いている

関わるつもりはないが、くだらない嫉妬に巻き込まれないように気をつけないとダメかとふと感じていた



「メドーサ姉ちゃんいらっしゃい」

その後もふらふらと歩いていたメドーサだが、結局横島の事務所に来ていた

魔族の自分にも平気で懐くケイに、メドーサは僅かにホッとした気持ちを感じていた自分に気付く


「一人かい? 悪い奴らだね、子供を放置するなんて」

「母ちゃんは事務所のお手伝いで、みんなは忙しいみたいなんだ」

リビングで暇そうなケイに僅かに笑みを見せたメドーサは、自分を見て嬉しそうに話すケイの話を静かに聞いていた

自分からはあまり話し掛けないが、しっかりと受け止めるようなメドーサにケイは嬉しそうなのだ

そんな風に純粋な好意を向けるケイと、それを心地好いと感じている自分にメドーサは戸惑いをかんじるが……

それでも過去に戻りたいとも、美智恵のようになりたいとも思わなかった



一方横島達や人狼達が必死に探してる八房だが、それは意外な場所にあった

深い森の奥地に立入禁止の看板と有刺鉄線が張り巡らされた私有地にある、古い洋館風の建物の地下である

そう……、南部グループ心霊兵器研究所に八房は持ち込まれていたのだ


「解析結果は出たか?」

「それが解析不能です。 並の霊刀や妖刀のようにはいかないようです」

「人狼に伝わるつまらない伝説だとばかり思っていたのだがな。 まさか本当に狼王が復活する鍵になるのか?」

「流石にそれは……、ただ普通の妖刀ではないことは確かです。 茂流田主任」

そこは様々な測定機器がある部屋だった

白衣を着た数人の研究員が茂流田と呼ばれた男性に解析結果を見せるが、解析不能となっている

部屋には他にも妖刀やら先日奈良で盗まれた品などが多数あり、科学とオカルト技術の双方を利用して解析しているところだった


「まあいい。 まずは捕らえた人狼でテストしてみよう。 上手く解析出来れば開発中の兵器の威力を高めることに成功するかもしれん」

「しかし妖怪を捕らえて実験する前に情報を聞き出すとは、上手いこと考えましたね」

「あの連中のおかげだな。 悪知恵に関しては奴らに叶う人間はいないかもしれない」

茂流田がニヤリと欲深げな笑みを浮かべると、研究員達もまたニヤリと笑みを浮かべる

なんと八房の情報を外部に漏らしたのは、他でもない捕らえられた人狼だった


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