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真の歴史へ・その三

同じ頃、オカルトGメンの西条と令子は奈良県のある寺を訪れていた

そこは千年を越える歴史を持つ名の知れた寺で、宝物殿があり数百年を越える宝物がある寺である


「それで盗まれた宝物と言うのは?」

オカルトGメンの二人は今日は奈良県警に呼ばれて来ていたが、その理由は宝物の盗難の捜査の為だった

ここの寺の宝物には二種類の物があり一つは一般の美術品や骨董品なのだが、もう一つはオカルト絡みの宝物なのだ

古い僧が使った霊具から始まり、妖怪や鬼などを封印した霊具も保管されている


そして今回盗まれた宝物は、千年以上昔にこの地で暴れ回った悪鬼が封印された宝玉だったのだ

このオカルト絡みの宝物は特殊な結界で封印されていたが、見事に破られて盗まれたらしい


「うーん、とくに怪しい痕跡はないわね……」

霊視ゴーグルで寺と宝物殿を隈なく調べる令子だが、何の痕跡も見つけられない


「鑑識の方もこれといった証拠は出てません。 犯行時間は昨夜22時から今朝4時までの間と思われます」

奈良県警の捜査官は西条に警察の方の捜査情報を説明するが、これといった情報はなかった


「あの宝玉は我が寺に代々伝わる物。 決して外に出してはならぬと伝わる物だったのですが……」

寺の住職は顔色が悪いまま古文書として伝わる伝説を語るが、西条は無反応なままだ

住職いわく封印された悪鬼が、どうなってるかは分からないとの事である

過去と違い近代の住職は霊能力が弱い住職も居たようで、数百年は誰も触れた事すらないとの事なのだ



「これで6件目か……」

西条は寺を後にすると難しい表情をして考え込んでいる

ここ数ヶ月で似たような封印された妖怪や妖怪の使う霊具の盗難事件が、何件か起きていたのだ

関連があるのかも分からないほど証拠がない事件であり、警察やオカルトGメンはオカルトアイテムの専門の窃盗グループがいる可能性があるとみて捜査を始めていたのだった


「まあ、高く売れそうなお宝ではあるわよね」

難しい表情の西条と対照的に令子は、さばさばした様子で興味がないと言いたげである

どんな物でもコレクションする人間は存在するし、オカルトアイテムのコレクターも当然いる

オカルトアイテムのコレクターは特に金持ちが多く、ヤバい物ほど高く売れることを令子は知っていたのだ


「同一犯だとすると発見は難しいな。 だが危険な代物を放置する訳にもいかない。 またGS協会に協力を依頼するか」

ここ数ヶ月の盗難事件の盗まれた物は一つも見つかってない

盗難事件は基本的に警察の管轄なので、オカルトGメンではGS協会に盗まれた物のリストを流して、発見次第確保または連絡をくれるように協力要請する以外に方法はなかった

いかに危険なオカルトアイテムとはいえ、現状のオカルトGメンでは人員不足で窃盗まで直接捜査は間違っても出来ないし、仮に人員が居ても警察の管轄の事件に関する捜査権はない

結局西条はこの件に関して、あまり関与する事なく終えてしまう

膨大な仕事を抱えてるオカルトGメンが、危険度の不明な骨董品にいつまでも関わる余裕などなかったのである


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