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真の歴史へ・その三

「結局、手がかりすら見つからなかったな」

「やはり人間が盗んだに違いない!」

八房が盗まれてから一週間ほど過ぎた頃、犬塚ジロウと犬飼ポチは全国に散らばる人狼の隠れ里に警告と報告を兼ねて回っていたが、やはり何の手がかりも掴めなかった

元々探すのが目的ではなく隠れ里に第三者が侵入した可能性を他の隠れ里に知らせるのが目的だが、二人は八房の行方も密かに探していたのだ

しかし隠れ里に篭りがちな人狼達が盗まれた八房の手がかりなど知るはずがなく、二人は当初の目的通り警告と報告だけで終えている


「うむ……、ここに行ってみるか?」

「人間など信用出来るものか!!」

「しかし、人間の世界は人間に聞くのが一番だろう。 それに人狼の里まで噂が流れる者達ならば悪いようにはせぬと思うが?」

二人は予定通り国内の隠れ里を僅か一週間ほどで全て回っていたが、その途中で新しい情報も得ていた

ジロウはその情報を元に人間に接触して八房の行方を探そうかと考えているが、人間嫌いな犬飼ポチの方は反対なようである

何かと意見が合わずケンカ気味な二人だが、結局は人間に接触して様子を見る事を決めていた



一方横島達の捜索だが、こちらも空振りに終わり一向に八房の行方が掴めない

警察やオカルトGメンには全く情報がなく、オカルトアイテムの窃盗や刀のコレクターなど捜索範囲を広げていたが成果は皆無である


「問題は人手不足か……」

ヒャクメのみならず老師まで手伝ってもらい八房の行方を探したが、問題はこの手の捜索をする人手が全く足りない事だった

横島はため息をはき状況を整理して考えていくが、刀一本探すには手がかりが無さ過ぎた

ルシオラ達がいかに優秀とはいえ、僅か数人で手がかりがない刀を捜索するには無理がある


「考え方を変えるべきかもね。 あの刀が真価を発揮するには人狼じゃないとダメなんでしょう? 人狼から調べた方がいい気がするわ」

この一週間ずっと通常の研究や今後の対策に加えて八房を探しつづけたルシオラは、少し疲れを見せつつ危険度が高い方から調べた方がいいかと考えていた

犯人は解らないが仮に第三者が盗んでどこかのコレクターに隠されてるなら、それは放っておいていいと考えるようになっていたのだ

八房で辻斬りするのが目的なら遅かれ早かれ見つかるだろうし、八房の一番の問題は人狼をフェンリルに変える事なのだから人狼を調べた方がいいかと考えたのである


「確かにあの刀も人狼が持たなきゃ普通の妖刀と大差ないしな。 人狼を調べてみるか? 犬飼ポチがフェンリルに変わる歴史が影響するとすれば、八房は人狼の近くにある可能性も高いしな」

歴史にない事件に自分達は少し神経質になり過ぎていたかもしれないと感じた横島は、八房が見つからないなら人狼を調べる方が早いかもしれないと思う

フェンリル事件が起きるならば、八房は人狼の手元に行くはずなのだから……

その後横島とルシオラの意見に小竜姫やタマモ達も同意して、結果横島達は八房の捜索を諦め人狼族の調査を行う事になる

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