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真の歴史へ・その三

それから横島達は情報収集のために動く事になる

横島と小竜姫は事務所の仕事もあるためそちらを優先させるが、ルシオラとタマモとヒャクメは情報収集に専念する事になった

八房が誰に盗まれたのか解らないが、はっきり言うと世の中に出て欲しくない刀である

あの刀の特性を考えると、絶対に人狼の里から出して欲しくない刀なのだ

ルシオラは忙しい中で余計な仕事が増えた事に頭を抱えつつ八房のゆくえや情報を探していく



一方同じ未来を知る美智恵だが、八房の事件には全く対策すら考えてなかった

アシュタロス一派との関連が低いこの事件は、美智恵にとってはどうでもいい事件なのだ

情報収集から対策まで基本的に一人で行動してる美智恵にとっては、動くべき事件の選別は必要不可欠なのである

事件の危険性に関しては理解しているが、はっきり言うとどうでもいい事件だった

横島達が解決するか、同じく横島達が放置するなら未来と同じ形で解決させればいいと考えるのみである

そんな美智恵が現在力を入れてるのは、黒岩達の情報収集だった

未来にない黒岩達三人の情報収集を第一に考えており、彼らの情報を知らなければこの先の未来の行方が読めなくなるのだから当然の行動なのだろう


「妖怪の拉致誘拐ね……」

黒岩達の情報を集めていた美智恵に入って来た情報は、オカルトGメン本部が妖怪の拉致誘拐及び不法密売の組織に関わる人物として、黒岩達がリストアップされ捜査が始まった事だった


「少なくとも本部が動くほどの組織は私は知らないわ。 やはりあの黒岩を名乗る男達の仕業かしら?」

未来において同じ組織があったかは美智恵も知らないが、少なくともオカルトGメン本部が捜査に乗り出した事はない

妖怪の拉致誘拐や不法密売とは言うが、一部の絶滅危惧種として保護してる妖怪などを除けば特に法的には問題ないのである

妖怪を他国に持ち出す場合は動物や貿易関連の法律に引っかかる可能性はあるため、オカルトGメン本部ではそちらの適用を含めて捜査を始めていた


「この件がどうアシュタロスに関係するの? まさかアシュタロスが資金稼ぎに乗り出した訳じゃないでしょうに……」

妖怪がどうなろうが基本的に美智恵には関係ない話である

むやみに滅ぼしたいとも考えないが、わざわざ助けないとも考えない

南部グループの件はもちろん美智恵の頭にも浮かんでいるが、南部グループの件は小規模でありわざわざ大規模な組織を動かすほどの規模ではないのだ

というか未来での南部グループは自分達で妖怪を捕獲していたのである

歴史が変わった影響で多少変わった可能性もあるが、密売組織が南部グループのためだとは考えにくい


「いったい何がどうなってるのかしらね。 これも全て予測済みなのかしら?」

最早自分の知る歴史があまり役に立たない事を痛感する美智恵は、原因たる小竜姫や横島を思い出し苦々しく思う

苛立つ心を落ち着かせる美智恵は、最後に勝つのは自分だと言い聞かせて情報収集に力を入れていく


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