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真の歴史へ・その三

(あの子は確か弓かおりだったか?)

連絡を待ちながら待機する横島だが、見物人の中に居た敵意に気付いていた

殺気立つほどじゃないため放置したが、明らかにおキヌと小鳩を睨んでいたのだ


(クラス対抗戦の時に弓さんと一文字さんがモメてたのは記憶にあるが、おキヌちゃんとモメてた記憶はないんだよな)

基本的に人畜無害なおキヌと小鳩が何故睨まれるのか、横島にはわからない

二人の性格を考えれば心配するほどじゃないとは思うが、多少未来との違いに違和感を感じる


「本当に小竜姫様が教えてるのね……」

一方令子は、丁寧に指導する小竜姫の姿に驚きと言うか不思議そうな表情だった

小竜姫が温和で優しい神族なのは理解するが、人間に簡単に指導する事は第三者から見れば少し不自然に見える


(ママがなんであんなに小竜姫様を気にするのかわからないのよねー。 いろいろ秘密はありそうだけど、悪いようにはしないと思うんだけど)

加えておキヌ達に指導する姿を見れば見るほど、何故美智恵あれほど小竜姫を気にしているのかわからない

中世でも命を救われた形なのだし、令子にとっては過剰に警戒する美智恵の意図がわからないのである



その後双方の依頼人から連絡があり、結局横島達が除霊してオカルトGメンが確認する事に決まる

どうも周辺住民はすぐに対応しなかった不動産屋に不信を抱いているようだ


「確認なんか必要ないでしょうに……」

小竜姫が居るのに何を確認すればいいのだとツッコミたくなる令子だが、小竜姫の正体を表沙汰に出来ないだけに仕方ない


「じゃ、行きますか」

横島が先を歩いて、小竜姫は愛子・おキヌ・小鳩の三人を連れて少し後ろを歩く

今回は横島が一人で除霊する姿を、三人に見学させる事が目的らしい

令子はアシスタントに連れて来た二人を待機させて確認の為に続くが、本当に見てるだけである


いざ除霊に入るが悪霊といっても一匹しか居ないし、それほど強い悪霊でない為に横島の霊波刀の一撃で簡単に終わりだった

今回は令子が除霊しても同じ結果だったろう


「簡単に終わりましたね……」

悪霊など見たことない小鳩は少し怯えていたが、結果は怖いと感じる暇さえもなかった

横島達の強さはなんとなく知っているので不安はないが、未知への怯えはあったのだろう


「よく悪霊が逃げなかったと思うわ」

霊力を隠してるとはいえ並の霊能者よりは高い霊力の横島達に、愛子は少しでも相手に知性があれば逃げ出してたと考えている


結局三人は危険もなく見学して終わり、令子も確認をして帰っていく

除霊から後始末まで全部で30分もかからなかった事から、比較的簡単な部類の除霊だった

帰り際にまだ残っていた見物人に混じってかおりが睨んではいたが、後はなんの問題もなく終わる



少し話は逸れるが、この件の問題は実は数日後に発覚する事になる

横島達とオカルトGメンの双方からそれぞれに依頼人に報告書が行くが、横島達の依頼人の不動産屋が室内の破損場所を弁償しろとクレームを付けてきたのだ

この件で横島達に批はなく、破損場所も横島達には関係なく悪霊による破損なのだが依頼人は譲らなかった

横島達は知らなかったが、実は依頼人の不動産屋はGS協会が密かに要注意人物に指定していた相手だったのである

今までにも何件も難癖をつけては、除霊料金を激安に押さえたり踏み倒したりする不動産屋だったのだ

結果的に横島は面倒な争いを避けて破損場所を弁償して終わるが、数ヶ月に不動産屋は脱税やら別の悪徳商法で逮捕される事になる

不動産屋が小竜姫の怒りを買い、ルシオラが密かに裏側を調べ上げて警察や税務署に情報がリークされたからであった

なんとも後味の悪い結果だが、現実にはよくある話である

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