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真の歴史へ・その三

その日、一年B組は転入生の噂で持ち切りだった

どこから漏れたのか知らないが、転入生が一年B組に来るとクラスに知れ渡っているのだ


「同時に二人とは珍しいですわね」

一年B組のクラス委員の弓かおりは、季節外れの転入生に疑問を感じている

普通科ならともかく霊能科は霊能力が必要なために、滅多に転入生など来ないのだ


「転入生って、多分私がお世話になってる事務所の人よ。 霊能の修業を始めてまだ数ヶ月だけどね」

「では横島事務所の人なのですか?」

最早隠す必要はないと考えた愛子は自分の知ってる二人だと言うと、かおりは驚き確認するように問い掛ける

横島事務所に関しては、中卒の16才がGS試験合格後すぐに事務所を開いたと言う事で割と有名だった

特に六道女学院の生徒にしてみれば自分達と変わらぬ年齢にも関わらず第一戦級で活躍してるだけあっていろんな意味で感心が高い

横島自身が妖怪の保護地区の試験的創設のメンバーの一人でもあり、いろんな意味で謎と噂が絶えない人物である


「うん、横島君の妹とお弟子さんかな」

一瞬返答に迷った愛子だが、小竜姫が神族なのは秘密なのだ

表向きおキヌと小鳩の師匠は横島になっている

まあ実際の指導は横島が一番してないのだが、これは横島の問題と言うよりは小竜姫達が優秀過ぎて横島に教える事が無いのが理由だった

それぞれにスペシャリストの三人の教え以外に教える事がほとんど無いのだ


「数ヶ月って、大丈夫ですの? 霊能の授業は厳しいですわよ」

「実戦経験は無いけど、基礎は結構出来てるわよ。 GS目指すって決めてる訳じゃないし、弓さんには敵わないだろうけど」

素人同然の転入生にかおりは少しガッカリしつつも、授業に着いて行けるか疑問を感じる

通常霊能の修業はもっと幼い頃からするものだし、まれに高校まで素人な人も来るが一年の最初から授業を受ければなんとか着いていけるレベルなのだ

素人が途中から転入生して授業に着いていけるか、疑問に感じるのは仕方ない事だろう

一方愛子はその辺りの詳しい事情はあまり分からないが、小竜姫が授業に着いていけないレベルで六道女学院に転入させる訳がないと考えていた


(霊能で言えば神魔妖怪の英才教育を受けてるのよね。 実戦経験がない分では弓さんには敵わないでしょうけど、他の生徒よりは上っぽいのよね)

事務所で唯一六道女学院の生徒のレベルを知る愛子は、おキヌと小鳩が現時点でも一年ならかなり上位に入ると思っている

それだけ六道女学院のレベルが低く感じてるのだが、実際は愛子の知る霊能者が強すぎるだけだけだったりする

見習いのレベルで雪之丞とピートが基準な為、愛子の霊能者を見る価値観は微妙にズレてるのだ



「今日は転入生を紹介する」

そんな中、担任ね鬼道に連れられて教室に入って来たおキヌと小鳩は若干緊張気味である


「横島キヌです。 よろしくお願いします」

「花戸小鳩です。 よろしくお願いします」

緊張気味なままで挨拶する二人だが、おキヌの元幽霊の経歴は秘密であり田舎育ちの偽の経歴を用意していた

小鳩に関しても貧乏神の過去は秘密にされ、こちらはただの貧乏だった過去になっている


これが未来とは違った形での二人の高校生活の始まりだった


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