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麻帆良祭

麻帆良祭だからと言って誰もがテンション高く騒いでる訳ではない

横島達が居る公園はあまり馬鹿騒ぎしないような人達が集まっていて、自由でゆっくりとした時間が過ぎていく

そんな公園で食事を済ませた横島と桜子は二匹と一緒に飛行船に乗っていた


「ほ~ら、高いとこだよ!」

猫は高いところが好きだということから飛行船に乗りに来た桜子は、広い窓から見える景色を二匹に見せる

せっかくの麻帆良祭だから二匹にも楽しんで欲しいようだが、流石に二匹ともに高すぎるなのか少々戸惑っていたが


「なかなか乗り心地がいいな」

「年に何回か一般向けに試乗会やってるんだけど、人気だから麻帆良祭が一番乗りやすいんだよ」

飛行船の中はたくさんの客で賑わっているが、ヘリコプターより乗り心地がよかった

この飛行船も麻帆良学園の持ち物らしく、定期的に試乗会を行ったり麻帆良祭などのイベントでは宣伝もしたりと活躍してるらしい

ゆっくりと麻帆良の街を旋回する飛行船から見える景色は新鮮であり、横島のみならず他の乗客にも好評なようである

横島自身もはっきり言うと自分で飛ぶよりは、こうやって乗り物に乗ってる方が落ち着くのが本音だった



その後飛行船を降りた二人は、そろそろ仕事の時間も近いためビッケとクッキを女子寮に連れて行く

二人になった横島と桜子はあちこちのイベントや屋台を見物しながら仕事場である仮設店舗に向かうが、ある一角に長い行列が出来ている


「あれ、楽しそう!」

「ああ、あれか。 確かに面白いよ。 ちょっと時間あるしやってみるか?」

仮設店舗に向かっていた二人は大学部の近辺まで来たところで一際行列が出来てる場所を発見し、桜子が興味を示したので横島と一緒に並ぶ

そこは以前横島が木乃香と遊んだ、お化け屋敷型のシューティングであった


「やったことあるの?」

「プレオープンの時に木乃香ちゃんとな」

ワクワクとした様子の桜子だったが、ゲームを遊んだ人間の半分が泣き出して逃げ出すように建物から出て来る

回りに並ぶ客達は有り得ないほど怖すぎるお化け屋敷だと噂をしているが、横島はプレオープンの時を思いだし不思議そうに首を傾げてしまう

そのまま四十分ほど並んだ横島達はようやく中に入るが……


「きゃー! 凄いね!!」

それは前回より数段恐怖度や難易度が増しており、とても一般向けとは思えない内容だった

しかし桜子は何故か爆笑するほど楽しいらしく、笑顔で次々とお化けを倒していく


(俺にはお約束って展開はないんだな……)

桜子が楽しそうな姿が素直に嬉しい横島だが、反面でやはり抱き着かれるお約束がないのは寂しかった

並んでる途中からちょっぴり期待していたのである


「やったー!! 完全攻略だ!」

「あれ、君は確か……」

最後まで楽しんだ横島と桜子はやはり完全攻略してしまう

難易度を変更してから完全攻略した人はほとんど出てなかったらしく運営する人達は慌ててやってくるが、横島の顔を見るとまたかと言うような顔をしていた


「あの、商品券は今回で終わりですよ」

連れてる女の子が違ったからなのか二回目だったからかは分からないが、運営する人達は微妙に悔しそうだった

どうやら完全攻略の商品券はまだ出していたらしく横島と桜子は貰えたのだが、横島は今回で最後だと念を押されてしまう

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