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あの素晴らしい日々をもう一度

そのままヒャクメは神界に戻り小竜姫は令子や横島達と美神事務所に戻るが令子の表情は何故か冴えない。


「さてこれからのことを決めねばなりませんね。」

令子の表情からか少し微妙な空気が辺りを支配する中、小竜姫は予想とは違う形になったこれからのことを考えていた。

妙神山から解放されたのは小竜姫にとっては好都合だが、今回の件でメドーサも決して油断ならない相手だと再認識している。

まともに闘えばメドーサには勝てる自信はあった小竜姫であるが、そもそもメドーサはまともな勝負など受けないのだ。

そしてこれからのことを考えると第一に口説かねばならぬ人物がいる。


「美神さん、協力してくれますか?」

「……この際仕方ないんでしょうね。 断れば先生かエミのとこに行くんでしょう?」

それはもちろんこの先の事件で横島と共に運命の鍵を握る令子であるが、令子はどうやら小竜姫が自分を頼ってくることをすでに理解していた。

正直一度や二度の仕事で一緒に居る程度ならばいいが、仮にも神族である小竜姫に事務所に居着かれると他人には知られたくないやましいことがある令子は邪魔だとすら思ってしまう。

ただここで断れないのは昨日や今日の小竜姫を見ているとまず間違いなく断ると令子の不利な状況になるからである。


「そうですね。 メドーサのことはもちろんありますが、横島さんと伊達さんのこともありますからGSの協力は欲しいです。 まあ二人の指導は私がしますし、事務所の仕事も二人の修行として手伝いますよ。 報酬は二人の見習いとしての仕事ぶりを正しく評価していただければ。 あと私は人間のお金など不要ですしあまり細かい事務所の経営には口出しはしませんよ。」

あまり気が進まないと露骨な表情をする令子に小竜姫は淡々と具体的な条件を提示していくが、小竜姫がすでに事務所に居着く気満々なのは令子にも明らかだった。


「オーケー、いいわ。 どのみちうちがメドーサに狙われる可能性がある以上仕方ないわよね。」

結局小竜姫に協力する場合と断った場合の損得を勘定する令子であるが、断った場合はライバル事務所に行く以上断れないのが実情である。

このままでも令子はメドーサに狙われる可能性はあるし、何より小竜姫が横島と雪之丞を監督して仕事まで手伝う以上は悪い話ではない。

さらっと横島を自分の弟子にしていて手放す気はないと言いたげだったり横島の時給まで口出しするのは何故かムカッとする令子だが、すでに横島は懐柔されていて今の小竜姫は以前とは違いしたたかで怖い。

何よりここで断ると仮にメドーサなどで何かあっても助けてくれないのではと思ってしまう。

一見すると以前よりも穏やかになったほどだが、それが逆に小竜姫の神族としての力も相まって怖さに繋がる。


「二人の指導だけならば唐巣さんのところでも構わないのですが、人としての強さは美神さんが上ですからね。 伊達さんもそれでいいですか?」

「ああ、俺は構わん。」

最終的に雪之丞は形式上令子が弟子として雇う形になり、小竜姫共々美神事務所の一員となることになった。

雪之丞に関しては正直修行とGS免許が得られるならば細かいことは気にしてないものの、まさか令子の事務所に厄介になるとはおもわなかったようだが。


「では明日からよろしくお願いします。 私達は帰りましょうか、横島さん。」

「あっ、はい。」

その後小竜姫は一通り決めるとさも当たり前のように横島を連れて帰っていく。

雪之丞に関しては流石に今日はもう時間的に遅いので事務所に泊まることにして、明日以降住む場所を探すことになる。

完全に物事を自分のペースで進めた小竜姫を令子はため息混じりに見送っていた。
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