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真の歴史へ・その三

カオス達の見守る中、ルシオラは慎重に地獄炉の停止作業に入る

地獄炉のシステムは理解しているが、これはヌルが作ったものであり全く同じとは限らない

絶対安全に止めれると決まっている訳ではないので、作業はやはり慎重にならざるおえなかったのである


「変な癖があるわ。 これ造った奴のセンスを疑うわね」

ルシオラも直に触ってみてわかった事だが、変な癖のある地獄炉だった

わざと非効率的に作ってる部分や、わざと危険性のある部分を作ってる感じなのだ

もしかしたら最初から、いずれ地獄炉を暴走させるつもりだったのかもしれないと感じる


「大丈夫か? ダメなら無理矢理に地獄との空間を閉じるけど……」

「任せて、大丈夫よ。 もう少しで終わるわ」

文珠で強制的に地獄炉を封印する事も考えている横島に、ルシオラは笑顔で答えていた

ルシオラも技術者としてのプライドがあるだろうし、ヌルの地獄炉で失敗などするつもりがない

まあ事前に地獄炉があるのはわかっていたのだし、準備期間もたっぷりあったのだから対応出来て当然ではあるが



同じ頃、ヌル対西条と令子の戦いにも変化が表れ始めていた


(地獄炉の出力が上がらない。 まさか……)

少し前から地獄炉をフルパワーにして西条と令子を取り押さえようとしていたヌルだが、何故か地獄炉からの魔力が一定以上増えないのだ

これは先程まで地獄炉の停止作業に入っていたカオスの仕業である

即座に停止させるのは難しいが、出力に制限をかけるのには成功していたのである

およそ60%のパワーしかヌルには供給されていなかった


「そうか……、ようやくわかりましたよ。 何故カオスが姿を現さないのか」

先程からの疑問が解けたヌルは西条と令子を苦々しく睨みつける

まあタコの姿なため、イマイチ迫力に欠けるのだが……


「地獄炉はドクターカオスには止められません。 あれは人間には無理なのですよ」

ニヤリと笑みを浮かべるヌルは、すでに自分の勝ちが決まったかのような態度で説明を始める

地獄炉はヌルにしか止められないが、それは相手を人間や神族に限定すればの話であった

ヌルは地獄炉に操作する者の識別装置を取り付けていたのである

魔族以外が停止作業に入ればトラップが発動するのだ

それを解除するには識別装置から解除する必要あるが、ヌルはそこにもトラップを仕掛けている

いかに天才ドクターカオスと言えど魂の在り方は人間には変わりなく、無事に地獄炉を停止させる確率はかなり低いのが現状だった


「それでは貴方達に最後の選択を選ばせて差し上げましょう。 私のモノになり生き延びるか、地獄炉と化したこの場所で死ぬか…… どちらがいいですか?」

残虐な笑みを浮かべるヌルの自信満々の地獄炉の説明を聞いた二人だが、いまだ諦めてないようでヌルを強く睨み付けている

まあ同じように睨み付ける西条と令子でも内心は全く違うのだが

西条はカオスを信じているし、最悪撤退する場合でもカオスが来るだろうと考えていた

しかし令子はカオスをあまり信じてなく、すでに撤退する方法を考えている

西条やカオスやマリア姫達を連れてどうやって撤退するか

令子の思考はフル回転して答えを探していく


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