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麻帆良祭

(もし彼が戦わずして相手を制したのだとすれば、恐るべき人なのかも知れません)

多少都合よく考え過ぎかとも思う茶々丸だが、結果的に見れば横島は手を出さないままで目的を達成している

もしかすれば、かなりの実力者かもしれないと考えるのだが……


(考え過ぎなのでしょうか?)

一応筋が通る考えなのだが先程からのどかを心配したり美砂達にからかわれてる横島を見ると、どうしても凄い人には見えない

茶々丸はこの件の結論を出さぬまま保留することにする



「いや~、あとちょっと助けが遅かったら逃げ出してたとこだよ」

「それはちょっと酷いですよ!?」

そんな感じで茶々丸が考え込んでる間にも一同は歩きながら先程の話をしているが、横島は逃げ出そうかと思ったとかションベンちびりそうだったと笑っていた

流石に逃げ出そうと思ったと言い出した時には明日菜が抗議するような言葉を口にするが、抗議している明日菜自身も横島の言葉をあんまり信じてなかったりする

そもそも横島が意図的に自分の評価を下げようとするのは今に始まったことではない訳だし……

ただ明日菜達を含めてこの場に居る少女達は、あの時助けが来なければどうなっていたかは気になっていた



(ギリギリのタイミングだったな。 まさか護衛が出て来ないで別の人間が来るとは……)

そして横島はといえば、あの時木乃香の護衛が一般人のフリをして介入して来るだろうと考えていたのである

しかし実際には護衛は動かずに、護衛が近くにいた魔法関係者であるガンドルフィーニを呼んだようだった

結果助けが横島の予想より少し遅かったのだが、護衛はあくまでも魔法関係以外は動かないということだろう

何はともあれ無事に乗り切れたことにホッとしたのは横島も同じだった



「あら、マスターにみんなも来てくれたのね」

少々ハプニングもあったが、予定通り天文部のプラネタリウムに来た横島達を迎えたのは那波千鶴だった

プラネタリウムは麻帆良学園にも一つしかなく混雑しているのだが、千鶴と親しげに話す横島には特に視線が集まっている


「こりゃ立派なプラネタリウムだな。 プラネタリウム見るなんていつ以来だろ」

横島の一言一言に聞き耳を立てているのはほとんど男性であり、ほぼ全てが千鶴を狙っていると言うかファンだった

中学生には見えないスタイルと色気を持ち金持ちの娘と来れば狙う男が居ないはずはなかったのだ

実は今年の春の天文部には千鶴を狙う男が大量に入部希望者として集まった影響で、天文の知識を問う入部テストまであったほどの騒ぎだったのである

しかし千鶴が実際に日頃参加するのは中等部の天文部であり、学園全体の天文部が集まる機会は年に数回ある大規模な観測会や麻帆良祭などのイベントだけなのだ

結果的に今回のプラネタリウムには千鶴目当ての男性がかなり集まっており、男達が互いに牽制しあう状況であった

ちなみに本当に天文を楽しみたい部員からは彼らは嫌われており、千鶴自身も正直迷惑に感じてるのだが本人達は変わらぬままだったりする



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