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真の歴史へ・その三

話は過去に戻り地獄炉に到着したカオスは、慎重に地獄炉を止める作業を開始していた

しかしカオスがいかに絶頂期とはいえ、未知の地獄炉を操るのは簡単ではない


「まだ止められんのか、カオス様!?」

「そう急かさんでくれ、姫! うかつな事をすれば地獄炉は暴走する! そうすればこの城は一瞬で蒸発しこの地域一帯は地獄に汚染されてしまうんですぞ!!」

慎重に一つ一つ確認しながら作業するカオスに、地獄炉の危険を知らぬマリア姫は焦りの表情を隠せない

この場所には戦闘の音など全く聞こえないが、それがマリア姫を更に焦らせる原因となっている

しかし地獄炉の危険を知るカオスは急ぐ事は出来ない

機械も説明書もなく共通規格もないこの時代、魔法科学を使える者は数えるほどだけである

しかも魔法科学の物は全て製作者の独自の理論から作られた物なのだ

カオスは制御装置はすぐに見つけたが、メーターやスイッチにはもちろん説明などない

大まかな制御理論はカオスにも解るが、何が何のスイッチやメーターなのかわからない以上は全てカオスの勘で操作するしかないのだ

まるで爆弾解除をしているようなものだった


「しかし、急がないとミカミやサイジョウ達が……」

「だから今……」


カチ!


マリア姫はカオスを理解しているが、魔法科学を理解している訳ではない

どうしても焦ってしまうのは仕方ないだろう

そんな時、苛立ちの表情を見せたカオスはつい何かのスイッチを触ってしまった


「だーーー!!」

その瞬間カオスは、マリア姫を守るような仕草で固まる

最悪地獄炉の暴走が頭を過ぎったのだろう


「な……なんだ。 明かりのスイッチか」

「す……すまぬ。 もう邪魔はしない……」

初めて見る冷や汗を流して慌てるカオスの姿に、マリア姫はいかに危険かを悟りその後は無言になる



「あれが地獄炉なのね……」

同じ頃、地獄炉のある場所の隣の部屋には横島・ルシオラ・ヒャクメが来ていた

最早ヌルの研究室を調べるのを諦めた横島達は、万が一を考えて地獄炉の近くまで来てカオスの様子を見つめている

本来の歴史では令子と横島が逃げて来た隙にカオスが地獄炉を逆操作するのだが、今回も同じになるとは限らない

というかすでに未来の歴史とは異なり、令子と西条は膠着状態のまま逃げてはいないためカオスと合流する可能性が低くなっている

逆操作をしない場合どうなるかわからない為、横島とルシオラがカオス達に気付かれぬように近くで待機していた


「ルシオラ、どうだ?」

「地獄炉も一応アシュ様に頂いた資料にあったけど、これはかなり旧型ね。 おそらく技術系統は同じでしょうけど……」

ヒャクメの能力で地獄炉とカオスの様子を見る横島とルシオラだが、やはり横島とヒャクメにはさっぱりわからない

唯一地獄炉とカオスのやる事を理解してるルシオラが解説するが、その表情はかなり険しかった

ちなみにルシオラだが、かつてのアシュタロスの反乱の折にアシュタロスが眠る間の技術者としての役割があった為に様々な技術をアシュタロスから与えられている

地獄炉などの技術も一部あったらしい


「暴走してから止められるの?」

「操作では難しいかも……、元々安全性なんて考えないで作ってるでしょうし……」

ルシオラの表情にヒャクメは若干怯えながら最悪の事態になった場合の事を聞くが、操作で止めるのは無理なのだ


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