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あの素晴らしい日々をもう一度

「じゃあ、私の仕事は終わりってことね。」

「ええ、勘九郎が失格になれば終わりです。 でもせっかくですから最後まで参加して横島さんと戦ってみても面白い気も。」

メドーサが何故この時点で撤退したかは最終的に小竜姫の憶測でしかないが、令子と小竜姫の仕事は勘九郎が次の試合に戻らねば終わりとなる。

正直ホッとする令子であるが小竜姫は意味深な笑みを見せると、そんな令子を少しからかうような口調で最後まで参加することを薦め始めた。


「じょ、冗談じゃないわよ。」

「そうっすよ! もし当たったら殺されますまって!!」

それは横島と令子の試合を見てみたいとの思いからの小竜姫のちょっとした冗談であるのだが、令子と横島は即座に否定するし横島に至っては余計なことを口走って令子に睨まれている。

実際GS試験のルールだと令子が不利であり勝てる気もしなく、まさか横島に勝てないなど認められない令子は横島に当たる前に仕事が終わってホッとしてた。

ぶっちゃけメドーサや勘九郎よりも令子にとってはそちらの方が問題なのは言うまでもない。



このあと勘九郎の不戦敗を見届けた令子はミカ・レイの姿から元に戻ると続けてミカ・レイの不戦敗が決まる。

有力候補が次々と不戦敗したことで会場は微妙な雰囲気になるが、最終的には有力候補が消えた横島が再び強固な結界に守られて優勝してしまう。

こうしてGS試験は未来とは違い穏やかな終わりを迎えるのだが。



「ハーイ、小竜姫。」

「ヒャクメ!? 何故貴女がここに?」

その後横島の決勝が終わり小竜姫は横島と令子とおキヌに治療した雪之丞も連れて会場を後にしようとするが、そんな時突然この場に現れるはずのないヒャクメが姿を現す。


「小竜姫、貴女なんかした? 実は本日付で貴女を妙神山の管理人からメドーサの専任捜査に変更する命令を持ってきたのね。」

ヒャクメは小竜姫のみならず令子や横島達を興味深げに見つめた後、この場に現れた用件を口にするがそれには小竜姫も令子達も驚き言葉を失う。


「なんでか知らないけど最高指導者様の勅命なのね。 あと小竜姫には最後まで責任を持って任務に当たるようにとのことよ。」

この命令には何か裏があると言いたげなヒャクメであるが、流石に小竜姫の心の中までは覗く気はないらしい。

一方の令子や横島は天龍童子の件や今回メドーサを逃がした責任を取らされるのかと考えたようだが、小竜姫本人はこの命令の意味を理解して冷や汗を流していた。


「了解しましたと伝えて下さい。」

だがヒャクメや横島達に自身が未来から来たことを伝える訳にもいかない小竜姫は言葉少なに返事を返すしか出来ない。

自身が未来から来たことも歴史を変えたこともすでにバレている。

何故処分ではないのかは少し疑問があるものの、今回の命令が事実上アシュタロスとの戦いまで視野に入れた命令なのは明らかだった。



「アシュの奴が原因やから、こっちは文句も言えへんけどあの姉ちゃんもやってくれたな。」

「言葉は悪いですがやったもの勝ちなのですよね。 小竜姫の気持ちも分からないではないです。」

同じ頃、ヒャクメが小竜姫に命令を言い渡す姿を見ている存在が居た。

神界でも魔界でもないそこで見ていたのは神界の最高指導者と魔界の最高指導者の二人である。


「ここであの姉ちゃんを処分するとアシュの計画が成功するなんて、偶然とは言え世界を人質に取ったようなもんやな。」

「そう言う言い方をするならアシュタロスをここまで野放しにした、そちらの責任も言わなければならなくなりますよ。 お互い止めましょう。」

何とも言えない表情の二人は小竜姫に勝手な歴史改変の責任を取らせることで一致しているが、実は二人にも他には手段がなかったという事情もあった。




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