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真の歴史へ・その三

「ヌル様! ドクターカオスとマリア姫が来ました!」

同じ頃、ヌルの元にカオスとマリア姫が来たとの報告が入る

カオスの予想外の行動にヌルやゲソバルスキーは驚きの表情を浮かべるが、ヌルは不敵な笑みを浮かべて城の中に案内するように指示をした


「ようやく会えましたね、ドクターカオス」

城の応接間に通されたカオスに、ヌルは穏やかでありながら自信に満ちた笑みを浮かべて声をかける


「私が留守の間に随分賑やかにやってるではないか。 それほど派手にやりたいなら、自慢のモンスターを連れてローマにでも行けばいいのではないか?」

ヌルに比べてカオスは落ち着いており、淡々と言葉を投げかけていく

興味がなく迷惑だと言いたげではあるが……


「天才と名高い貴方らしくない言葉ですね。 こんな田舎に居る理由は同じでしょう? 歴史を変えるほどの天才でありながら、時代の先を進み過ぎて理解されないのは同じはずでは?」

「そうかもしれんが、お前と同じにされたくはないな。 私は少なくとも理解ある領地を乗っ取るつもりなどない」

二人の静かな会話は部屋の中に響き渡っていた

部屋には他にマリア姫とゲソバルスキーやザコソルジャーこと鎧兵士がいるが、マリア姫は先程から何も言わず俯き気味でカオスから離れないし、他の者も誰も口を開かない

異様なほど静かで落ち着いた部屋には不釣り合いな緊張感が部屋に満ちている


「乗っ取るとは穏やかではありませんね。 私はこの領地の為に働いているのですよ。 貴方は適わなかったが、私が作ったモンスターのパワーは見たでしょう? もうすぐあれを大量生産出来ます。 それを世界中に売れば、この地はすぐに豊かになりますよ」

「私はお前を買い被ってたのかもしれんな。 あんな得体の知れぬ者を誰が買うのだ?」

にこやかに恫喝するようなヌルに、カオスは小ばかにしたように鼻で笑って答える

普通の魔法道具ですら怪しい物扱いする世の中で、モンスターなど買うはずがない

少し考えれば誰でも気付く疑問だが、それに気付いた者はヌルに殺されるか捕われるかしたのだろう


「話が合いませんね。 私は貴方と会えるのを楽しみにしていたのに…… 是非共同経営したいと考えていたんですよ。 それに私と手を組めば、資金も場所も望みのままに手に入りますよ」

「悪いが私は誰と組む気もない。 まして魔族と繋がるお前とはな」

不敵な笑みで話していたヌルの表情が、カオスの言葉で一気に変わる

そして同時にゲソバルスキーやザコソルジャー達が、瞬時に武器をカオスとマリア姫に突き付けていた


「交渉決裂ですね。 二人共殺さず捕らえなさい。 マリア姫は私の妻に、ドクターカオスはその頭脳が欲しいのですよ」

ヌルはカオス相手に油断するつもりはなかったが、マリア姫を守りながらここから逃げるのは難しいだろうと考えている

カオスが空を飛ぶ乗り物で人造モンスターや鎧兵士達を殲滅したのは報告を受けていたが、ここは室内なので空飛ぶ乗り物が近付けない

まあ多少の武器は持ち込んでるだろうが、カオス自身にそれほど戦闘力がないのは事前に調べていたのだ

数の力で確保出来るし、最悪ヌル自身の力があれば絶対に負ける事がないと確信しているようだった


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