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麻帆良祭

「あっ、マスター来てくれたんだ」

「せっかく誘われたんだし来ない訳ないだろう」

「おかげでスイーツの評判がいいんだよ」

中等部に到着した横島達はチアリーディングや新体操の公演時間を見ながら中等部の出し物などに顔を出すが、横島がスイーツを提供したクラスの喫茶店はなかなかの繁盛だった


「すっかり顔が知られてるわね」

「私より友達が多いみたいです」

明日菜とのどかにとっては自分達の学校なのだが、中等部の校舎に入った頃から横島が一番声をかけられている

大学部の地区では知られてないが、中等部に限定すると横島の知名度はかなりのものがあった


「女子校の文化祭ってテンション上がるな~」

「割引券に招待券ばっかりですね」

横島がスイーツを提供したクラスの喫茶店でお茶にしていた三人だが、明日菜は横島が持っていた割引券や招待券の数に驚いている

およそ二十枚ほどの券を持っていたのだ


「常連から貰ったんだよ。 俺も図書館探検部の探検大会のチケット配ったしな」

麻帆良祭では友人や知人に招待券や割引券などを配ることが多いらしく、横島もお返しに図書館探検部のチケットを配っていたらしい

女の子に弱いのにマメな横島に明日菜とのどかは微妙な笑顔を見せているが



「お~、これは………」

「ダメよ、横島さん」

その後横島達は美砂達が出演しているチアリーディングの公演を見に行くが、思わず携帯電話を取り出す横島を見て明日菜は理由も口にせずに止めに入っている


「俺は別に写真を撮ろうなんて考えてなかったぞ」

「私、写真の話なんかしてませんよ」

若干うろたえる横島に明日菜は深いため息をつき答えるが、のどかは顔を赤くして二人のやり取りを見てるだけだった


「明日菜ちゃんも成長したな。 まさか読まれるとは思わなかった」

「いや周りを見れば分かりますって……」

ため息をつく明日菜に横島はごまかすように明日菜の成長を喜ぶが、実際は明日菜は横島の行動を読んだ訳ではなく周りの男の見物人がカメラで勝手に撮影してるのが嫌でも見えるのだ

女性の立場からすると止めてほしいと思うのは当然だろう

まして横島の評判が落ちれば店の売り上げに直結する訳だし


「いいか二人とも。 男はみんな狼なんだぞ」

「顔がニヤけてると説得力ないですよ」

チアリーディングの公演を見ているためか、顔がニヤけてる横島が明日菜とのどかに男は危険だと力説するが当然説得力は皆無であった

明日菜はまだ半ば呆れたように笑っているからいいが、のどかは反応に困っているような笑顔を見せただけである

何はともあれ二人は横島も見てる分には普通の男なんだと実感していた

まあ女好きを公言してる割に押しに弱い横島なだけに、離れた場所から見てるのが楽しいのだろうと半ば誤解めいた納得をしてしまうのだがそれは仕方ないことだろう

結局それぞれに反応や楽しみ方は違うが、横島も明日菜ものどかも楽しいのは変わりないようだった



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