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麻帆良祭

その後高畑は少しの間話をして帰り、店内が静かになると横島は徹夜して注文品を作っていく

お菓子教室などをしていた為、思った以上に時間がかかってしまったのだ

結局横島が注文品を全て作り終える頃には、すでに夜が明けており明日菜が新聞配達から戻って来る頃だった


「結局徹夜したんですね」

「お疲れさん。 俺は一日や二日の徹夜は慣れてるから問題ないよ」

明日菜が戻って来るとようやく仕事を終えた横島が一息ついており、自分達が押しかけた為に横島の仕事が遅くなり徹夜になった事で若干申し訳なさそうな表情を見せる

だが横島は全く気する様子もなく明日菜に冷たいお茶を出す


「もう一眠りしたらどうだ? 起きたら朝飯食えるようにしといてやるぞ」

「あんまり甘やかしたらダメですよ。 みんなすぐに甘えちゃうんだから」

押しかけるように来ておいて泊まってしまった2-Aの少女達に朝ご飯まで出すつもりの横島に、明日菜は流石に甘やかし過ぎだと告げるが横島は笑ってるだけだった

以前に夕映達が何度か言ったのを明日菜も知っており、横島があまり変わってない現状に思わずため息が出てしまう


「賄いみたいなもんだから気にしなくていいって。 それにお祭りだしな」

あまり懲りてないと横島に明日菜は多少心配になるが、横島を心配しても無駄になることも多い為に半ば諦め顔である


「そうだ、明日菜ちゃん今日の朝九時くらいまで暇か? 出来れば店番頼みたいんだけど……」

微妙な表情をしていた明日菜だが、横島はふと思い出したかのように店番を頼みたいと言い出す

横島は朝食を準備した後は仮設店舗の仕込みがあるし、昨日頼んだ木乃香は占い研究会の準備があり難しいようなのだ

夕映やのどかも忙しいようなので横島は明日菜に店番を頼みたいと考えていたらしい


「私は別にいいですけど」

「じゃあ頼むわ。 受け取りに来る客に渡すだけだから簡単だよ。 バイト代も出すし、適当に暇潰してていいからさ」

相変わらずの調子で店番を頼まれた明日菜だが、あっさりと引き受けていた

最近2-Aの少女達ともかなり仲良くなった横島だが、やはり頼み事をする時は明日菜達に頼むのが当然なようである

というか横島の明日菜達に対する扱いが、すでに客ではなく身内のような形になってるのだが


「私ここでお金払う以上に貰ってるんですよね。 なんか間違ってるような……」

木乃香と同じくほぼ毎日横島の店に来ている明日菜だが、実は払う料金以上の収入が入っている

元々お金にあまり余裕がない明日菜は飲み物くらいしか頼まないのだが、来れば余り物や試作料理をご馳走になることが多い

加えて忙しい時間に手伝ってバイト代を貰っているのだから、払う料金以上の収入になっているのだ

別に間違ったことはしてないし一つ一つ考えれば問題は無いのだが、明日菜は何かが間違ってる気がしてならない


「そんだけ手伝ってくれてるんだよ。 本当に助かってるからな~」

少し考え込む明日菜に横島は相変わらず軽い調子で答えているが、明日菜は横島に上手く丸め込まれてる事実に気付いてないようだった




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