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真の歴史へ・その三

「時空を見通し、座標を直感的に把握するなんて人間に出来るの?」

カオスの説明に令子はある程度納得しながらも半信半疑な部分もあった

言葉と理屈はわかるのだが、それを突然やれと言われても出来るはずがない


「おそらくお前さんの母親は初めからある程度本能的に出来たはずだ。 危険な時間移動を何度も練習したはずがないしな」

カオスは実際時間移動能力者に会うのは初めてだし、理論的に考えた推測だと言い説明するがほぼ当たっている

そもそも時間移動能力は能力の発動よりも使いこなすのが難しい能力なのだ

人類史上どれだけの人間が時間移動をしたかはわからないが、単純な回数で言えば美智恵がおそらく最高だろう


「それで何故我々が未来へ帰るのに、マリアが必要不可欠だと言うのですか?」

「お前さん達三人の中で時空を見通し、座標を把握出来たのがM66……マリア一人なのだよ。 そもそもお前さんは此処へ来た事を偶然だと思ってるだろう?」

先を急かすように説明を求める西条に少しため息をはいたカオスは、時間と空間を的確に把握出来るのはマリア一人だと告げる


「本当に? 偶然じゃないの?」

「甘い!! この広い宇宙の広大な時間の流れの中で、あてずっぽうに知り合いに合えるはずがなかろう。 仮に今お前さん達二人に電流を流して時間移動能力を発動させても、何処とも知れぬ次元に放りだされるだけなのだよ」

自信を持って言い切るカオスに、さすがの令子も異論を挟む予知がなかった

まあ令子としては帰れれば細かい事はどうでもだけかもしれないが

そんな令子と西条が納得した様子なのを見たカオスは、マリアに歩み寄り一瞬愛おしそうな表情をして充電を開始する


「帰る際には無事に帰れるように手助けをしよう。 そのかわり、ヌルを倒すのに力を貸してもらおうか」

充電するマリアから視線を外したカオスは、悪巧みをするような意味深な笑みを浮かべて令子と西条を見つめていた

それと言うのも、カオスとしてはどうしてもヌルに対抗する戦力が必要だったのだ

カオスフライヤーとバロンだけでは戦力が足りないと悩んでいたカオスは、マリアと令子と西条を戦力とすればヌルに対抗出来るだろうと予測していたのである


「力って言っても…… 私達は武装した兵士やガーゴイルなんか相手に戦う力は無いわよ」

西条はすぐに頷いて承知したが、令子は若干ため息をはいてカオスに食い下がった

まあ令子もこんな展開になるだろう事は先程から感じていたが、出来れば面倒事には関わりたくない

まして全盛期のカオスの凄さはよく理解したし、令子としては自分が関わらなくてもカオスならばなんとか出来るだろうと考えていたのだ


「武器は私が用意する。 以前資金稼ぎの為に作ったアイテムもあるしな。 それに……、ヌルはおそらく人間ではない。 早く倒さなければどうなるか私も予測がつかないのでね」

武器やお札などの霊能アイテムを令子や西条に見せるカオスだが、その表情は険しい

そしてヌルが人間でないと告げると、マリア姫や令子達の表情も険しく固まってしまう


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