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その一

「横島君、すまないがここの責任者に事情も説明しないといけないので来てくれないか?」

高畑がすまなそうに話した

「いいっすよ。」

横島は当然だろうと思い、軽く承諾した

「じゃあ二人を送ってそのまま学園長のとこに行こうか」

高畑は先に木乃香達を送って行こうとしたが…


「あの… 私達も先ほどの事を知りたいのでついて行きたいのですが…」

夕映は先ほどのあまりの事態に高畑に説明を求めたが、高畑は困った顔をしてどこかに電話をした


「学園長も了解した。 みんなで学園長の場所に行こうか」

電話が終わると横島は木乃香達と一緒に、高畑に連れられて学園長室に向かった


学園長室に入ると、デスクに座っている老人が横島にお礼を言ってきた

「わしがここの責任者の近衛近右衛門じゃ。 木乃香はわしの孫なんじゃ、二人を助けてくれてありがとう」

「いえ、偶然に近くにいたので助けただけですから、気にしないで下さい」

横島が笑いながら話すと、木乃香が学園長に先ほどの事を聞いていた


「おじいちゃん、さっきの人はなんなん? 化け物と一緒に襲ってきて火の玉を撃ってきたんよ?」

学園長は困った顔をして考え込んでいたが、あきらめたように話した

「木乃香には内緒にしていたが、この世界には魔法使いがいるんじゃ… 婿殿が秘密にして欲しいと言うておるから話さなかったがの。 わしも婿殿も魔法使いなんじゃよ。 恐らくはその関係で木乃香が狙われたんじゃろう… 綾瀬君は多分巻き込まれたんじゃろう… すまなかったのう…」

学園長の話に木乃香と夕映は目を見開いてビックリしていた…


「信じられませんが… 先ほどの事を見たので疑いようもありません。 横島さんも魔法使いなんですか?」

夕映が横島に聞くと、学園長も高畑も木乃香も横島を見た


「俺は魔法使いじゃないよ。 戦いは少しは出来るけどね」

横島は少し困ったように、夕映に答えた


「秘密なんて、お父さまのいけず~」

木乃香は秘密にされていたことに、少しむくれていた


「横島君は魔法使いは知ってはいたんだね?」

学園長は真剣な顔になり、横島を探るように聞いた

横島は何処まで話すか悩んでいた、自分はこの世界にきたばかりで詳しくは知らない


「実は俺はこの世界の人間ではありません。 平行世界から来たんです。 だからこの世界の魔法はよく知りません。」

横島は素直に話すことにした

疑われたり危険視されたら消えればいい。

そう思った


横島の発言は学園長も高畑も驚き、真偽がわからなかった…


「う~む、横島君はこの世界に何しに来たんじゃ?」

学園長は更なる情報を求めて質問した


「俺は偶然この世界に来たので、静かに暮らして生きたいだけですよ」

横島は少し寂しそうに語った


「おじいちゃん、横島さんをここに置いてあげてぇーな 横島さん帰る場所ないんやろ? 可哀想や」

学園長や高畑が悩む中、口を開いたのは木乃香だった


横島は木乃香の話に驚いていた、得体の知れない自分にそこまで言うとは思わなかった


「うーん そうじゃな 横島君さえよければここに住まんか?」

学園長は少し考えて、笑顔を見せて横島に話した


「正気ですか? 得体の知れない人間を? 何か問題があってからでは遅いですよ?」

横島は驚き、真剣な顔で学園長に問いただした


「大丈夫や。 横島さんはいい人なんだから」

木乃香は笑顔で横島に言った

横島は木乃香の笑顔につい笑ってしまった…


「アハハッ 木乃香ちゃんには勝てんな~ 学園長、しばらくお世話になります。 よろしくお願いします」

「それがいい。 わしも木乃香には勝てんからな。 フォフォフォフォ…」

学園長も笑ってしまい、話が決まった


「横島君の住まいと戸籍は用意しよう。 しばらく待ってくれ。 それまではホテルに泊まればよい。」


そうして横島は、木乃香と夕映を送って自分もホテルに行った


「学園長よろしいのですか? 悪い人間には見えませんが…」

学園長室では高畑と学園長が話し合っていた


「かまわんよ。 木乃香が気に入ったみたいじゃしな。 それにわしにも悪い人間には見えなかった…」



学園長はその後横島を調べたが、結局何もわからなかった…
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