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▼狐の夢・プロローグ

「ところでタマモ、お前たまにはお揚げ以外の物も食べてるか?」
お揚げ抜きのきつねうどん(素うどんとも言う)を啜りながら横島が尋ねた。

「私はお揚げがあればそれでいいのよ」
自信たっぷりに少女が答える。何の自慢にもならないが…

「そういう訳にもいかんだろうが」
珍しくまともな事を言う横島。
だが、予想外の答えが返ってきた。

「あら、アンタの彼女ルシオラさんだっけ?彼女は砂糖水ばっかりだったって教えてくれたのは誰だったかしら?」
悪戯っ子のような笑顔で問いかけるタマモに対して横島は

「そんなことまで教えたか?」
あれ?という顔で逆にタマモに問いかける。

「ええ」
「そっか…」

しばらく静かな時間が流れる。
でもけして重苦しいわけではなかった。
穏やかな、優しい空気に包まれたようなそんな時間。

タマモの今一番好きな時間。

(横島とこんな話ができるようになったのって何時からかしら…)
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