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プロローグ

それから1週間後、ようやく後始末なども一段落して、いよいよ美智恵が過去に帰る日になる


この1週間の横島だが、バイトは全く無かった

大霊症の後遺症とも言える状態で、悪霊などの活動が皆無だったのである


横島は学校に通いつつ、三日に一度くらい事務所に顔をだして元気な姿を見せていたが、令子やおキヌにはどこか無理してるのがわかっていた


そんな横島だが、令子やおキヌや周りの人間に特に泣きついたり辛そうな表情をすることは全く無い

無論ルシオラの事を考えない瞬間など無いが、周りも気遣いルシオラの話をしないし、横島も自分からルシオラの事を語ることは無かった


お互いに気を使ってると言えば言葉はいいが、横島も令子もおキヌも今まで以上に相手に頼ったり踏み込むことを避けていたようである



そして美智恵帰還の見送りのために美神事務所を訪れた横島は、小竜姫からベスパとパピリオの処遇を聞かされた


「ベスパさんは自らの希望により魔界軍に入りました。 パピリオはまだ幼いため、神魔の相互交流の一環として妙神山で預かることに決まりました」

小竜姫が二人の今後を話すと、横島は自分のことのような笑顔を見せる


「小竜姫様、ありがとうございます!」

セクハラもせずに何度も頭を下げる横島に、小竜姫は何故か不安を抱く


「横島さん、たまには妙神山にいらして下さい。 パピリオも待ってますから」

しかし神族と言う立場上、小竜姫は不用意なことは言えない

基本的に彼女は妙神山に括られた神であり、横島に対して出来ることは少ないのだ

せめて相談する相手として気軽に自分を頼れるように、一言告げるのが精一杯であった



「あまり心配するな。 軍が全て死地に向かうような危険な部隊ばかりではない。 デタントも進みつつある今、昔にくらべれば軍も平和だからな」

一方横島にそう語ったのは、ベスパの今後を頼まれたワルキューレである

アシュタロスの部下だったベスパが軍で危ない立場に立たされないか心配する横島に、ワルキューレは苦笑いを浮かべて安心させるように話していた


「当分は姉上の部下として配属される予定です。 なのでそれほど心配しなくても大丈夫ですよ」

まるで別人のような横島の姿に驚くジークも、それとなく横島を安心させるようにフォローする



その後小竜姫達が令子と今回の事件について話す間、横島は屋根裏部屋で土偶羅と話していた


「なあ土偶羅、やっぱり方法無いのかな…」

「霊破片が足りないからな。 他から霊破片を持って来ても、それは別人になるだけだ」

無表情で語る横島を頭だけの土偶羅は静かに見ていた


「俺の中にはルシオラの霊体が山ほどあるのに……」

「お前は人間だからな… そうなんどもちぎったりくっつけたりは出来んのだ」

悔しそうに拳を握り締める横島を土偶羅は見ているしか出来ない


「そっか… いろいろありがとうな」

横島は静かに屋根裏部屋を後にする


そして美智恵が帰る時間になり、事務所の前で美智恵と令子は別れの挨拶を交わしてゆく


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