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真の歴史へ・その三

「このままにはしておけん! 私と共に奴らを追い払ってくれまいか?」

「ちょっと待って、私達は幽霊やもののけの退治が専門で武装した兵士なんかと戦えないわよ。 それに貴女も戦えるように見えないし……」

「無礼な事を言うようだが、これが敵の罠なら姫が行くのは無謀過ぎます。 もっと策を考えるなりしないと」

熱くなり自ら敵を討ちに行こうとするマリア姫に、令子と西条は困惑しながら止めていた

令子と西条の思惑は相変わらず微妙に違うが、このまま出ていけばヌルの思うツボなのはわかる

過去に興味がない令子にしても、マリア姫に何かあればカオスの助力を得るのが不可能になるのは予想出来ていた

マリア姫の話の様子から、カオスとマリア姫の関係はおおよそ想像がつく訳だし



「ならばどうしろと! 領民を見殺しになど私は出来ん!!」

令子と西条が止めるのも聞かずに、マリア姫はバロンを伴い隣村に行こうとするのだが……


「私が留守にしてる間に随分賑やかになったな」

令子達と話をしていた家を飛び出したマリア姫を、一人の男性が受け止めていた

一見30代にも見えるその男性の姿に、マリア姫は涙を浮かべて喜びを表す


「カオス様! 戻って来てくれると信じていたぞ」

「あれが…… カオス……」

感動の再会をするカオスとマリア姫の後ろで、令子と西条は信じられない表情でカオスを見つめていた

この時代でのカオスの力はある程度想像していた二人だが、その若々しい容姿には予想外だったようである


「積もる話もあるが、まずは隣村を襲ってる連中を何とかせんとな。 姫はここで待っててくれ」

カオスは自らも行きたそうな姫を半ば強引に説得して、カオスフライヤーで飛び立っていく



さて何故カオスが突然戻って来たかと言えば、時間はマリア姫が令子達を助けた時まで遡る

あの時マリア姫はバロンに足止めを頼んで逃げたが、その戦闘の影響でバロンのエネルギー値が急激に下がっていたのだ

カオスはマリア姫を守るためにバロンを残したが、その保険としてエネルギー値の急激な低下と故障やダメージによる体の故障などの際にカオスに連絡が来るように設定していた

その結果として急激なエネルギーの低下により、カオスはマリア姫の危機を知りブラドーとの戦闘を中断して戻って来ている

これは歴史の修正力とは違うものだが、横島達が静観している現状では本来の歴史に近い結果になるらしい

カオスはそのままカオスフライヤーでマリア姫の領地に戻るが途中で城の異変に気付き、領地内を少し調べでバロンの反応を元にマリア姫を探し出していたのだ



時は戻ってカオスフライヤーで隣村まで行ったカオスだが、今回は降りることなくカオスフライヤーでヌルの部下である鎧兵士やガーゴイル・火竜を掃討していく

横島が経験した歴史では村人やマリア姫が居たためにカオスフライヤーを降りたが、隣村の村人はすでに逃げたらしく鎧兵士達が村を荒らしてるだけだった

少し降りて敵と話すことも考えたカオスだが、マリア姫や村人も居ないし目立っても意味がないと判断したようだ


結果はカオスの圧勝だった

敵には空に攻撃する手段が火竜のはく火のブレスしかなく、対ブラドー用のカオスフライヤーにはかすりもしなかったのである


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