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麻帆良祭

「アレだけは本当にどうしようもない。 動かせるモノならとっくにメルディアナに送ってるわい」

清十郎が語ったアレとは世界樹の地下に封印された創造主である

以前魔法協会幹部も頭を痛めていたが、清十郎と千鶴子もまたアレの扱いにはほとほと困り果てていた


「彼が目指していたのが本当に全ての魔法界の人が幸せになる楽園だとしたら、私達は罪深いことをしてるのでしょうね」

「しかし誰も見て帰った者はいないからのう」

創造主の話題になると千鶴子は少しため息をつき頭を悩ませる

近右衛門を含めて三名は赤き翼や詠春からいろいろ情報を得たが、秘密結社完全なる世界の最終目的に関しては正直判断に困っていた

第三者の一般人である千鶴子や清十郎からすれば、彼らの話は戯言や妄言としか思えない

しかし様々な情報を検証すると満更嘘とも言えないのだ


「アレが魔法界を創造したならば、魔法界はアレの作り出した壮大な箱庭ということになるからのう。 むしろメガロの連中は世界を間借りしてるに過ぎん。 連中は認めないじゃろうが外から見れば神に逆らっとるようなもんじゃからのう」
 
創造主の問題は近右衛門でさえも手に余るモノだった

世界の創世や行く末など人間の価値観で判断出来る問題ではない

魔法界の人間は自分達が生きる為に当然の抵抗をしただけだが、創造主の立場からすると自分の作ったモノを直そうとしてるだけとも思える

少なくとも第三者から見ればどちらかが絶対の正義には見えないことは確かだった

そんな中で一番の現実的な問題は創造主は近右衛門が受け入れたのではなく、ナギ達が勝手に麻帆良で封印してしまったという事実である

いくら近右衛門が赤き翼に協力していたとはいえ、あんな厄介なモノは受け入れるはずがない

ナギ達も他に方法が無かったとはいえ、近右衛門に無断であそこに封印したのだから始末に負えなかった



「話を戻しましょうか。 魔法協会への更なる資金提供が必要ですわね。 諜報部門と警備部門の大幅な強化は避けられませんわ」

「それはワシらで補うしかあるまい。 長期運営プランも変更が必要じゃしな」

話が脱線して沈黙が訪れた頃、千鶴子は現実的な対策の話を始める

現状で魔法協会の諜報部門と警備部門の強化は急務であった

しかも諜報部門は雪広・那波両グループも深く関わっており、特に海外は雪広グループと那波重工の社員や関係者が諜報員を兼任してることが多い

無論それが全てではないが、日本を代表する企業である両社の情報収集力は凄まじく麻帆良学園には必要不可欠の力になっている


その後メガロとの交渉や他国の魔法協会との交渉や連携などに必要な工作資金の話なども含めて、三人は資金面を中心に相談を続けていく

同時に千鶴子は東西の魔法協会の統合に向けた進展も要求したが、これは当然の要求だろう

ちなみにネギの扱いについてはメガロとの交渉次第となるが、長期的な受け入れだけは困難との意見で纏まる

友人の気持ちを考えると心苦しいが、正直ネギの存在は近右衛門達でさえも手に余るものだった

高畑個人が受け入れることと一年程度の期間を設けることが最低条件となる

実際近右衛門としては戦時の指揮命令権の撤廃の交渉を求める各国魔法協会の間で、一年おきに移動させたいとも考えていた

組織としては自分達だけがリスクを追う結果だけは絶対に飲めないのが現状なのである

楽しげな声が微かに聞こえるホテルで三人は、夜遅くまで今後の対策に追われることになる

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