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麻帆良祭

その頃横島は少女達と一緒に相変わらず騒いでいた

店舗を営業してる者以外の2-Aの少女達も集まり出しており、賑やかというかカオスに近い状況でもあったが……


(不審者が五人に護衛が五人か。 なかなかの大物だな木乃香ちゃんも)

少女達と一緒に馬鹿騒ぎしている横島だったが、木乃香を取り巻く現状に思わずため息を吐きたくなる

実は横島達の周辺には正体不明の不審者が五人ほど紛れており、木乃香と護衛を探っていたのだ

護衛は学園側の人間が三名に刹那と龍宮の二人である

刹那と龍宮は先程合流したのだが、元々護衛をしてる刹那だけではなく龍宮も何故か木乃香の護衛に回ってるようだった


(どうでもいいが、あの子は問題だな)

不審者と護衛が周辺に散らばる中、横島はあからさまに周囲を警戒する刹那が問題だと感じる

龍宮はまだ無警戒を装ってるからいいが、刹那は少々分かりやすかった

無論一般人では気付かないだろうが、刹那が護衛なのが不審者には伝わっている

今のところは問題はないが、正直あまりいい傾向ではない


(目的は情報収集か)

それと言うのも不審者の目的は情報収集だと横島は見ていたからだった

そもそも彼らは木乃香よりも木乃香の警護の人間を探っているのだ

恐らく不審者達は魔法協会の人員の情報収集が目的なのだろう

魔法協会の機密情報を直接狙うよりは魔法協会の人員を調べた方が遥かに現実的で効率がいい

魔法協会側としてもあまり協会側の内情を知られたくないのが本音なのだ


(魔法使いの実力の確認と素性の調査か)

そもそも情報収集は地道な活動が当然である

某スパイ映画の主人公のように派手な戦闘など起きないし、ただひたすら地道に情報を集めるだけなのだ

まあ麻帆良の街には麻帆良祭以外の時にもスパイは居るが、基本的には監視されたまま泳がされている

よほどの証拠があれば捕らえるのだろうが、流石に証拠もなく捕らえることなど出来るはずがない

スパイとはいえ合法的に日本に入国した人間であり、表と裏の両方の法を守る以上は魔法協会といえど早々勝手は出来なかった


(まあいいか。 この連中を調べれば今の麻帆良の状況が分かる。 連中を芋づる式に掘り起こしてやればいいだけだな。 どうせ土偶羅が調べてるだろ)

麻帆良祭はその賑わいの影で普段とは比較にならないほどのスパイが来るが、横島は逆にその連中を調べればいいと考えていた

スパイを調べ送り込んで来た相手を調べれば、逆に得られる情報は多いだろう

というかすでに土偶羅は、麻帆良祭を利用しての情報収集活動を行っている

市外からの観光客に混じって麻帆良に来ているスパイなどは、ほとんど全て土偶羅により調査対象にされていた

せっかく向こうから怪しい人間を送り込んで来るのだから、ある意味土偶羅にとって麻帆良祭は絶好の機会なのだ


「あっ!? それは俺の焼き鳥だぞ!!」

「早い者勝ちでござる」

僅かに現在の状況を考えていた横島だったが、もちろんその間も少女達と騒いでおり食べ物を取り合ったりして周りの爆笑を誘っていた



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