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真の歴史へ・その三

その後もいろいろ話をしていく横島達だが、結局確証が持てないまま終わる

そして交代で休みながら朝を迎える事になった



「西条さん、これからどうする?」

「うむ……、とりあえず近くの街まで行くしかないだろう」

一方野宿した令子と西条だが、西条が徹夜で辺りを警戒して令子がグッスリと眠った事以外はとりたてて何も起きなかった

突然過去に飛ばされた事で西条はとても眠れる精神状態では無かったが、令子は全く気にせずグッスリ眠っていたようである

神経の図太さは相変わらずのようだった


結局令子と西条は辺りの草むらにマリアを隠して、とりあえず近くの街を探して歩き始める

マリアに関しては本当は連れて行きたいのだが、その重量ゆえに西条と令子だけでは運べなかった

それに動かないマリアを抱えて移動すれば嫌でも目立ってしまう

とりあえず街で情報収集と、服やお金を用意する事を優先したようである


それから半日ほど森をさ迷った二人は、ようやく街らしき場所に到着していた

森に囲まれた小さな街のようで、小高い丘の上には領主の城らしき立派な建物がある


「とりあえずお金をなんとかしないとな…… 僕が精霊石を売って服を買って来るからしばらく隠れててくれ」

西条は街外れの森に令子を残したまま、とりあえず着る服とお金を調達に向かう

西条のスーツも令子のオカルトGメンの制服もこの時代ではどうしても目立ってしまうのだから、情報収集の前に最低限の準備は必要だった



「なんか予想と全然違うな……」

その頃二人の様子を着かず離れずで監視している横島達は、思わずため息をはいている

横島の代わりに西条が居る事や令子の内面の変化など未来とかなり条件が違うとはいえ、まるで違う展開なのだ

先が読めなくなって来ただけに、この変化はあまり感激する展開ではない



さて精霊石を売ろうと街を目立たぬように歩く西条だが、街の人間の空気がおかしかった


(なんだ? 私に怯えてるのか? 確かに目立つかもしれないが怯えるほどじゃないと思うが……)

西条を見るなり慌てて逃げて行く者や隠れる者がいる

西条自身は服装や東洋系の顔や黒髪は珍しいだろうと思っていたが、警戒される前に怯えられる意味がわからない

少し気になる反応ではあるが長居をするのは危険だと感じた西条は、急いで精霊石を換金出来る場所を探す


しかし西条の予想とは裏腹に田舎の街で精霊石を買い取ってくれる店など、あるはずがなかった

西条としては安くても構わないのだが、基本的にオカルトは教会が独占してるため精霊石を買い取る一般人など居なかったのだ

まあもっと大きな街に行けばいいのだろうが、田舎町では不可能なようである


「もし、そこのお方。 この街は危険だ。 早く立ち去った方がいい」

何件か街の店を周る西条に、突然声をかけたのはかなりの年の老人だった

深いフードを被ったその姿からは年老いた肌が僅かに見えている


「わざわざご忠告ありがとうございます。 されどこの精霊石を売ってお金を作らねばダメなのです」

「着いてきなされ」

精霊石を見せた西条に、老人は一言告げるとゆっくり歩き始めた

西条は少し悩むがこの街が危険なのはすでに感じていたため、仕方なく老人に着いていく


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