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真の歴史へ・その三

一方ルシオラは現状を知るために情報収集を始めていた


「やっぱり人造モンスターが動いてるわね。 周辺5キロに3体か…… 運用テストと言ったとこかしら」

鬼天号のレーダーで周辺を探るが、予想通りモンスターらしき反応がある

未来での横島の話では人造モンスターの数は少なく、本格生産の前だとルシオラは考えていた

しかし現状の様子ではヌルの計画は最終段階にまで行ってる可能性がある


「実はこの計画も妙なのよね~」

「妙と言いますと?」

「そもそもこの計画が成功するとは思えないのよ」

レーダーを見つめながら考え込むように呟くルシオラに、小竜姫は疑問の中身を尋ねていく


かつて未来においてヌルが語ったのは、モンスターを作り世界に売り飛ばす計画である

しかし中世の封建的な世界でそんな得体の知れない物を誰も買うはずがない

まあこの話自体はマリア姫を騙す為の嘘なのだろうが、ルシオラが不思議なのはヌルが最終的に何をしたかったかである


「こんないい方をするのもアレだけど、人造モンスター程度じゃあんまり意味がないと思うのよね。 この時代のオカルト技術は高いし、被害は多くても最終的には人間に滅ぼされるわ。 ヌルが何をしたいのかよくわからないわ」

神族と人間の世界を滅ぼすのが目的だとすれば、人造モンスターはあまりに脆弱なのだ

しかもヌル自体、戦闘向きの魔族じゃない

自分の研究やテストなら魔界でも可能だし、何故わざわざ見つかる危険の高い人間界で人造モンスターの研究をしてるかがルシオラにはわからなかった


「ドクターカオスを捕まえるつもりなんじゃないの?」

ルシオラの疑問に即答したのはタマモである

DVDを見ながらも話は聞いていたようで、即座に思いついたらしい


その言葉に横島・小竜姫・ルシオラ・ヒャクメの四人は、ハッとした表情になる


「私は魔界の事あんまり詳しくないからわかんないけど、マリアを作った頃のカオスなら無理しても捕まえる価値あるんじゃないの?」

考えと言うよりはタマモの直感だった

より優れた力や技術を取り込みたいと考えるのは、古来より神魔人界問わず考える事である

ヌルが野心溢れる魔族だったとして、カオス捕らえ利用するつもりだとすればすべて説明がつく


「確かにそう考えれば全部繋がるわね」

世界をどうにかする野望だとばかり考えていたルシオラだが、話を聞くとドクターカオス一人を捕らえる為の作戦だったと考える方が自然だった

いくら田舎とはいえ、この土地はバチカンからさほど離れてない

カトリックの勢力圏のど真ん中でモンスター製造を始めるなど、本気だとすれば馬鹿としか言いようがないのだ

研究資金などはヌルならば簡単に稼ぐ事も奪う事も可能だし、わざわざカオスが保護されてる田舎領主にカオスの留守中に近付く必要もないのである

そう考えるとカオスを捕らえるのが目的だと考えた方が自然だった


事実横島は未来においてヌルがカオスを誘ってるのを聞いている

あの時は令子が魔族なのを見抜いた為に敵対したが、あれが無ければ何らかの交渉なり続きがあったかもしれない


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