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真の歴史へ・その三

一方令子達は、時間移動した場所からまだ動いてなかった


「令子ちゃん、どうやって時間移動したかわかるかい?」

「それがイマイチ…… 多分ママみたいに電気を霊力に変換したと思うんだけど無意識だったし、もう一度出来るかわからないわ」

むやみに動くのは危険だと判断した西条は、令子にもう一度時間移動してもらい帰れないかと考えている

最終的には美智恵が助けに来るかもしれないが、簡単に助けてくれないのは何となく理解していた


「マリア君は、帰る方法についてわからないか?」

「ノー・ミス美神の時間移動以外・マリアも知りません」

西条は藁にもすがる思いでマリアにも尋ねるが、時間移動以外に帰る方法などあるはずがない

それに加えバッテリーが危険値になったマリアは、強制スリープモードに入り眠ってしまう


「参ったな…… とりあえず朝までは動かない方がいいか」

森の中で大まかな場所しかわからない現状では、朝まで動けないと西条は考えていた

マリアが起きてれば街の方角などもわかるのだが、令子と西条の二人では遭難する危険があるのだ


「寒いわね。 火でも起こせないかしら?」

西条は普通のスーツで令子はオカルトGメンの制服だが、初冬の夜では寒くて仕方ない

令子と西条は近くに落ちてる木の枝を集め、小さなたき火を起こす


「令子ちゃん、これをかけるといい」

「でも、西条さんも寒いでしょう?」

「僕は大丈夫さ」

小さなたき火を起こしたがまだ寒そうな令子に、西条は自分の上着を令子に着せていた



「なんか陳腐なドラマでも見てるみたいだな」

そんな令子と西条の姿をメインモニターで見ていた横島は、未来とあまりに違う展開に少し不満そうである

別に令子に未練がある訳ではないが、自分の時は散々文句を言われながら移動しただけに西条の時に上手くいくのはなんか面白くない


さて横島達がどこに居るかと言えば、令子と西条から僅か数メートル離れた場所の木の枝の上だった

一見クワガタにしか見えない虫の姿がそこにはあり、これは以前にルシオラが発明した逆天号の姉妹兵鬼である鬼天号である


横島達は今回も時空震感知システムで令子の時間移動をすぐに発見して、過去にやって来ていた

時間移動自体は横島の文珠を使用したが、時間や場所の設定は鬼天号に組み込まれた時空間座標により行われている

元々逆天号と同じく異界空間に潜航する能力があっただけに、時空間座標は搭載されていたのだ

ルシオラはこの時代に来た頃に鬼天号に時間移動能力も搭載しようと研究はしていたが、技術的な難しさや消費霊力の問題から見送っている

元々時間移動自体は横島の文珠で可能だし、異界空間潜航能力は戦略上必要だが時間移動能力は時空間に与える影響からあまり使えないという問題もあり、結果としてわざわざ鬼天号に搭載するメリットがなくなっていた

それでも時間と空間の設定を鬼天号の時空間座標が肩代わりする事で、文珠を使う横島の負担はかなり減っている

そんな訳で横島達は鬼天号に乗って、令子達の近くで状況を見守っている最中だった


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